介護保険の被保険者区分と保険料

介護保険

かつて介護は、家族で支え合ってするものでした。しかし、戦後の日本は高度経済成長期を経て、家族の形態が3世代同居型から核家族に変化しました。同時に、医療の発展により高齢化も進みました。その結果、介護を家族で支えることが難しくなり、この改善策として2000年に創設されたのが、介護保険制度です。

介護保険制度の目的

以下の2つを目的としています。

  1. 家族だけではなく、社会全体で介護の必要な方を支えていくこと。
  2. 家族の負担をできるだけ軽減して、介護を理由に離職する人をゼロにすること。

介護保険に加入する人(被保険者)と負担する保険料

介護保険の被保険者区分

介護保険は40歳以上の人が加入します。介護保険に加入をすると、介護保険を利用する権利も生まれるのですが、年齢によりその内容が異なります。

介護保険では65歳以上の方を第1号被保険者、40歳以上64歳以下の方を第2号被保険者といいます。年齢で二つに分けられているのは、年代によって病気の種類や病気にかかるリスクが異なるからです。

第1号被保険者、つまり65歳以上の方は、病気や認知症、交通事故などで寝たきりとなり介護が必要な状態になった時、また、日常生活に手助けが必要な状態になったときにサービスが受けられます。つまり、原因がどうであっても、「今の状態が介護(または支援)が必要な状況」であれば受けられます。

一方、第2号被保険者は、ガンの末期や認知症などの決められた特定疾病で要介護・要支援状態になった時にサービスが受けられます。つまり、「下記の特定疾病が原因で介護(または支援)が必要な状態となった場合」のみ受けられるのです。

※ 特定疾病とは

末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症、骨折を伴う骨粗しょう症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、多系統萎縮症、糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険の保険料負担

介護を受けるためには、介護保険料を支払わなくてはなりません。これも第1号被保険者と第2号被保険者で違います。

第1号被保険者の保険料は、市町村または特別区(以下、市町村といいます)が徴収します。保険料は市町村または特別区で異なります。介護保険料は、一般的には2ヶ月に1回の老齢年金から引かれます。ただし、年収が80万円以下の低所得者の方は、老齢年金から引き去りされず、自分で支払う方法もとれます。また、軽減措置も設けられています。

第2号被保険者の保険料は、健康保険料と一緒に徴収されます。介護保険料も給与の等級(標準報酬月額)などにより金額が異なります。会社員、公務員などの年金の第2号被保険者は、健康保険と同様に労使折半なので、実際には、介護保険料の半額は会社が負担してくれています。

65歳以上の方
(第1号被保険者)
40歳から64歳の方
(第2号被保険者)
対象者 65歳以上の方 40歳以上65歳未満の健保組合、全国健康保険協会、国保などの医療保険加入者

(40歳になれば自動的に資格を取得し、65歳になるときに自動的に第1号被保険者に切り替わります。)

受給要件
  • 要介護状態
  • 要支援状態
要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病)による場合に限定。
保険料の
徴収方法
  • 市町村と特別区が徴収

    (原則、年金からの天引き)

  • 65歳になった月から徴収開始
  • 医療保険料と一体的に徴収
  • 40歳になった月から徴収開始

出典:厚生労働省パンフレット「介護保険制度について」

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

介護保険は65歳以上の方しかもらえないと思われている方も多いです。条件によっては、40歳以上でも利用が可能ですから、頭に入れておいてください。

この記事を書いたアドバイザー

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竹内 美土璃 (たけうち みどり)