老齢年金の確認の仕方(ねんきん定期便の見方)

公的年金

将来の老齢年金は、いつからいくら受け取ることができるのでしょうか?ねんきん定期便を見れば分かります。

ねんきん定期便は国からの警告書!?

日本は国民皆年金ですので、ねんきん定期便はすべての方に毎年の誕生月を目安に送られてきます。そこには自分の過去の納付状況を元に年金の給付額が記載されています。ねんきん定期便は国からの警告書くらいに捉え、内容に間違いがないか確認しておくことも大切なポイントです。

ねんきん定期便は、50歳未満と50歳以上で内容が異なります。

50歳未満の方のねんきん定期便

これまでの加入実績に応じた年金給付見込額が記載されています。将来の年金額を知りたい場合には「ねんきんネット※」に登録し試算します。

令和5年度「ねんきん定期便」(50歳未満)
50歳未満のねんきん定期便

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

上図から内容確認のチェックポイントAからEをみていきましょう。

Ⓐ 国民年金・第1号被保険者の加入期間
厚生年金に加入しない自営業・学生などの場合に記入があります。学生納付特例制度など猶予や他事情で免除を受けていた期間も記入がありますが、未納の場合は記入されません。
Ⓑ 国民年金・第3号被保険者の加入期間
厚生年金保険加入者の配偶者で、扶養の要件を満たす場合に記入があります。保険料は厚生年金被保険者全体で負担しているため自分で保険料を納める必要はありません。結婚して夫の扶養に入る場合には届出が必要となります。
Ⓒ 厚生年金保険 計
会社員・公務員など厚生年金加入期間の合計です。
Ⓓ 受給資格期間重要チェックポイント!
老齢年金の受け取りには受給資格期間120ヶ月以上が必要となります。これには、国民年金の猶予・免除を受けていた期間もカウントされます。経済的な理由などで保険料を払えない時には必ず最寄りの年金事務所に相談をしましょう。必要な手続きを行うことで猶予・免除が認められる可能性もあります。何もしないと未納となりカウントされず、将来年金が一切受け取れなくなることもあります。
Ⓔ (1)と(2)の合計重要チェックポイント!
これまでの加入実績に基づいた金額であり、将来受給する金額ではありません。これからの働き方や収入を増やす、未納分を納めるなどで増やすことができます。

50歳以上の方のねんきん定期便

現在の制度に60歳まで継続加入したものとして、将来の分も含めた年金額が記入されています。例えば会社員なら、今の給与が60歳まで続くと仮定した見込み額です。今後昇給する場合には記入された金額より老齢厚生年金が増える可能性があり、逆の場合もあります。

令和5年度「ねんきん定期便」(50歳以上)
50歳以上のねんきん定期便

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

上図の「1. これまでの年金加入期間」は50歳未満の方と同じで、「2.老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」が違う部分になります。
生年月日によっては65歳よりも前に支給される特別支給の老齢厚生年金の支給があり、黄枠内に記入があります。

確認しておく主なポイントをあげておきます。

Ⓐ 老齢基礎年金
満額受給は約80万円(2022年4月からは780,900円)です。満額より少なく記載されている場合には年金事務所に相談して受給額を増やす方法を考えましょう。
Ⓑ (1)と(2)の合計
老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計です。厚生年金基金に加入している場合、厚⽣年⾦基⾦から⽀給される額(厚⽣年⾦基⾦の代⾏部分)も含めた仮定の金額が記載されています。基金加入がある方は、会社または基金、あるいはねんきんネットでご確認下さい。(50歳未満の定期便は概算金額なので、問題はありません。)

ねんきんネットへの登録方法

年金額の試算や詳細な加入記録の確認ができます。

50歳以上のねんきん定期便

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

納付済み保険料は自分でチェック

50歳未満のねんきん定期便

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

厚生年金保険に加入している場合、黄枠に「直近1年間の給与(標準報酬月額)・賞与(標準報酬賞与額)と保険料納付額」の記入があります。転職した場合、給与の増減や誤り、漏れがないか確認しておきましょう。

また節目年齢(35歳、45歳、59歳)に届く定期便は、加入全期間の履歴が掲載されて封書で届きます。記載されている記録に誤りがあると、給付で不利益を被りますから同封の「年金加入記録回答票」と「返信用封筒」で届出をしましょう。

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

会社員・公務員で厚生年金に加入している方は、転職をする際の「退職日」に注意しましょう。末日以外に退職し翌月以降の入社の場合、退職月は厚生年金に加入しないことになるため自分で国民年金保険料を納付する必要があります。新しい職場への移行に一定期間置く場合には年金保険料の未納に気をつけましょう。

この記事を書いたアドバイザー

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三原 由紀 (みはら ゆき)