老齢年金の請求の仕方

公的年金

老齢年金は受給要件を満たすことで、受給権が発生します。しかし、年金を受給するためには自分で手続き(年金請求)をしなければなりません。
年金の請求は、支給開始年齢に到達する約3ヶ月前に、年金の請求手続きの案内が日本年金機構から送られてきます。また請求書を提出するのは、支給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)になってからです。支給開始年齢になる前に提出された場合は、受付してもらえないので注意が必要です。

老齢年金請求の手続きをするタイミング

老齢基礎年金の受給要件は、20歳から60歳までの間で、年金保険料納付済期間(免除、猶予、特例含む)が10年以上あることです。60歳になると、「老齢年金のお知らせ」のハガキが届きますので、ご自分の加入状況を確認することができます(特別支給の老齢厚生年金の受給権のある方を除く)。

この要件を満たすと支給開始年齢到達前に請求手続きの書類が送られてきます。
実際の受け取り時期をどうするかにより手続きが異なります。

65歳より前に年金を受給したい場合(繰り上げ)

年金が減額されます。
本来の受給開始年齢よりも早めに年金を受け取りたい場合、お近くの年金事務所または年金相談センターにて、繰り上げについての説明を受け意思の確認の上、希望するときに手続きをします。これは、受給の繰り上げは減額された年金が生涯続きますし、一度請求すると取り消しや変更ができないからです。なお、繰上げは60歳を過ぎたら1ヶ月単位でいつからでも手続き可能です。

65歳から年金を受給したい場合

支給開始年齢(65歳)に到達する3ヶ月前に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所および年金加入記録をあらかじめ印字した「年金請求書(事前送付用)」及びリーフレット(「年金を請求されるみなさまへ」)が日本年金機構から送られてきます。支給開始年齢から年金の受け取りを希望するときは誕生日の前日以後、請求手続きをします。

65歳より遅れて年金を受給したい場合(繰り下げ)

年金が増額されます。
本来の受給開始年齢より遅れて年金を受け取りたい場合は、「老齢基礎年金だけを繰り下げる」、「老齢厚生年金だけを繰り下げる」、「両方を繰り下げる」の3つの方法から選択できます。繰り下げは66歳から75歳まで1ヶ月単位でいつからでも可能です。それぞれ手続き方法や注意点が異なりますので、65歳時に年金事務所または年金相談センターにて相談して考えましょう。

年金請求手続きの流れ

  1. 支給開始年齢に達する3ヶ月前に年金請求書が送付されてくる年金請求書(事前送付用)、年金の請求手続きの案内が送付
  2. 年金請求書に必要事項を記入、必要書類をそろえる
  3. お近くの年金事務所か街角の年金相談センターに提出
    支給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)から提出できます
  4. 年金受給権が満たされているか確認し、年金証書と裁定通知書が送付されてくる
  5. 年金の支給が始まる(年6回)
    年金は原則、偶数月に前月・前々月の2ヶ月分がまとめて支給

特別支給の老齢厚生年金がある方の手続き

昭和36年4月1日より前に生まれている男性、昭和41年4月1日より前に生まれている女性で厚生年金加入期間が1年以上ある場合は、65歳になる前に「特別支給の老齢厚生年金」が受給できます。特別支給の老齢厚生年金の支給開始の年齢は、65歳より前ですが生年月日性別により異なります。実際何歳から特別支給の老齢厚生年金が受給できるかについては、ねんきん定期便で確認します。

特別支給の老齢厚生年金は、繰り上げ、繰り下げはできないので、受給スケジュール通りに受け取ります。

「特別支給の老齢厚生年金」を受給している方が65歳になると、特別支給の老齢厚生年金が終了し、新たに老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになるので年金請求書の手続きが必要になります。届出が遅れると、年金の支払いが一時保留されることがあるので、注意しましょう。

65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金は、受給開始を繰り下げることもできます。老齢基礎年金・老齢厚生年金の、どちらか一方のみの繰り下げを希望する場合は、65歳になる時に届く日本年金機構から「年金請求書」(ハガキ)の「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」または「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」のどちらかに○をつけます。また、両方を繰下げする場合は、「年金請求書」を提出する必要はありません。

老齢年金の請求に必要な添付書類

すべての方に必要な書類等(マイナンバー表示で不要のこともあります)
戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか本人の生年月日を明らかにできる書類
年金の受取先金融機関の通帳等(本人名義)
カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳(コピー可)
印鑑(認印可)

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

年金は受給権が発生しても、自分で請求しなければ受給できません。年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると、時効により消滅します。請求書類や添付書類は家族構成や年金の加入期間等により変わってくるので記入漏れや誤り、書類の取り忘れがないよう注意をしましょう。

この記事を書いたアドバイザー

アドバイザーの写真

三藤 桂子 (みふじ けいこ)