障害年金の受給要件と請求の仕方

公的年金

日本の年金制度には、「障害年金」という給付があります。病気やケガで日常生活や就労が困難となる障害が残った場合に受給することができる年金のことです。

障害年金が受給できる人

障害といえば、知的障害などの先天性の障害や、事故などにより手や足に障害が残った「身体障害」をイメージされることも多いかと思いますが、障害年金は、日常生活がどの程度困難か、労働に制限があるか、などの「状態」で支給の対象かどうかを判断します。したがって、人工透析やガン、うつ病や若年性アルツハイマーなどの精神疾患など実際には様々な傷病が対象です。医師に診断書を依頼する際には、その傷病による生活や労働の困難の程度、援助の状況を十分に伝えることが大切です。

障害基礎年金の受給に必要な要件

障害年金は、適切に年金保険料を支払っていなければ受給できません。よって、以下の2つのどちらかの要件を満たしていることが必要です。

  • 初診日の前日において前々月までの被保険者期間のうち「保険料を納付している期間(保険料を免除している期間も含む)」が2/3以上あること。
  • 2/3以上の納付がなくても、初診日に65歳未満で前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
障害基礎年金

上記の他、以下の要件もあります。

  1. 20歳以上60歳未満の方→国民年金に加入していること。
  2. 60歳以上65歳未満の方→国内に住んでいること。
  3. 障害認定日に1級または2級に該当すること。

障害認定日とは、障害の原因となった傷病の初診日から起算して1年6ヶ月経過した日をいいます。それ以前に傷病が治った場合は傷病が治って、障害が残った日が障害認定日となります。

障害年金の種類

障害基礎年金 自営業の方など国民年金のみに加入している方に適用されます。
障害厚生年金 会社員や公務員など厚生年金に加入している方は障害基礎年金に加えて適用されます。
つまり、保障が手厚くなっています。

障害厚生年金の受給に必要な要件

障害基礎年金の受給要件を満たし、初診日に厚生年金の被保険者であった場合、障害厚生年金が上乗せで支給されます。さらに、障害厚生年金には3級の認定もあります。

例)初診日によって、受け取れる障害年金が異なります。

障害厚生年金

Aさんの初診日:厚生年金の被保険者の期間 → 障害基礎年金 + 障害厚生年金
Bさんの初診日:国民年金の被保険者の期間 → 障害基礎年金

会社員時代に発症していたとしても、初診日が会社を辞めてからであれば、「障害基礎年金」しか受給できないため、初診日の「年月日」はとても重要です。初診日に関する記録は残しておくことをお勧めします。なお時効は5年です。

障害年金の等級目安

1級 他人の助けなしで日常生活が不可能な状態
2級 日常生活において助けが必要、労働により収入を得られない状態
3級 就労が著しく制限される状態(厚生年金のみ)
障害手当金 傷病が治っても労働が制限を受ける状態(厚生年金のみ)

障害年金の請求の仕方

障害年金は、自分で請求しないと受けられません。障害基礎年金はお住いの市区町村の役所、障害厚生年金は近くの年金事務所や年金相談センター(国民年金の第3号を含む)が窓口です。障害厚生年金を受給しながら、厚生年金に加入して働くと、65歳時点で「老齢厚生年金」か「障害厚生年金」のどちらか多い方を受給します。

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

障害年金を受給しながら、フルタイムで働いていらっしゃる方はたくさんいらっしゃいます。例えば、心臓ペースメーカーや人工関節などを装着された方のように人口器官・人口臓器設置手術や人工透析など特定の治療を受けた方ならば、装着・治療継続していれば当然受給は継続します。また、身体の欠損(例えば、指や足関節など)や機能障害の検査数値などが障害等級に該当していれば、もちろん継続です。ガンやうつ病の方でもその状態によっては障害年金が受給できます。障害年金の請求をあきらめないでください。

この記事を書いたアドバイザー

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黒木 留美 (くろき るみ)