会社員男性が亡くなった時の遺族年金

公的年金

遺族年金には国民年金を財源として支給される遺族基礎年金と厚生年金を財源として支給される遺族厚生年金がありますが、被保険者の性別、働き方でその保障内容が変わります。ここでは、会社員男性が亡くなった場合の遺族年金について解説します。

遺族年金は子どもの成長とともに変わる

会社員男性(30歳)が亡くなった時に、妻(専業主婦・28歳)と子ども(3歳)が受け取る遺族年金をみていきましょう。実は遺族年金は子どもの成長とともに変わるものなのです。

遺族年金

遺族基礎年金

年金保険料の支払いが適切であれば、加入年数に関わらず子どもが18歳になるまで一人につき約100万円支給されます(老齢基礎年金満額に子の人数により金額が加算)。なお、障害年金の障害等級1級または2級の子どもの場合は20歳になるまでの支給です。

(年金額)2020年度支給額
遺族基礎年金 781,700円
子の加算(第1子・第2子) 各224,900円
子の加算(第3子以降) 各75,000円

子どもがいない場合には受け取れないことから「子ども年金」と覚えておくといいでしょう。
なお、今回のケースでは子供が3歳から18歳になるまでの15年間に1,500万を受け取ることになります。

中高齢寡婦加算

子どもが18歳になった時に、妻が40歳以上64歳未満であれば受け取ることができます。給付期間は、65歳までの有期になり、妻が受け取る遺族厚生年金に加算されることから「奥さん手当」と覚えておくといいでしょう。妻が65歳になると、妻自身の老齢基礎年金を受け取ることになります。
今回のケースでは、妻が43歳から65歳までの22年間に1,320万円を受け取ることになります。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は夫が受給するはずだった老齢厚生年金の4分の3です。この額は、ねんきん定期便で試算できます。

平成31年度「ねんきん定期便」(50歳未満)
ねんきん定期便(50歳未満)表

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

夫の現時点での厚生年金加入期間Aを確認します。Aの月数が300月(25年)を満たしてない時には300月とみなして遺族厚生年金の計算を行います。
これを短期要件といいますが、適用を受けるには以下の条件があります。

  1. 死亡時に厚生年金に加入していない場合であっても、厚生年金加入中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
  2. 死亡日に65歳未満で死亡した月の前々月までの1年間に保険料の滞納がないこと(2026年4月1日前までの特例)
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給権者が死亡したとき

今回のケースでは、A=96月<300月です。短期要件を適用して受給額の計算を行います。

老齢厚生年金(B) ÷ 厚生年金加入月(A) × 300 × 34

ねんきん定期便を参照すると、100,000 ÷ 96 × 300 × 3/4 = 234,375円 です。つまり万が一の時、妻が65歳までに受け取る金額は、28歳から37年間で867万1,875円になります。

転職すると保障内容が大幅に減少

会社を辞め国民年金の被保険者となると、受給資格期間(C)が300ヶ月以上ない限り、上記で解説した「遺族厚生年金」と「中高齢寡婦加算」が受給できなくなります。受給できた場合でも、遺族厚生年金に短期要件が適用されない、中高齢寡婦加算はAが240ヶ月以上なければ支給されないなど、支給内容が大幅に変わります。

平成31年度「ねんきん定期便」(50歳未満)
ねんきん定期便(50歳未満)裏

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

直近1年以内の納付状況は(D)で確認ができます。未納期間が長いと、遺族年金そのものの受給権を失うこともありますから、適切に保険料を納付するようにしましょう。

妻の年齢・年収によっても受給が変わる

夫死亡時に妻の年齢が30歳未満で遺族基礎年金の受給対象となる子どもがいない場合、遺族厚生年金の受給は5年間です。30歳未満でも子どもがいる場合や妊娠中であれば遺族厚生年金は一生涯の支給です。30歳以上であれば子供の有無にかかわらず一生涯の支給です。

なお、遺族年金は生計を維持されていた遺族への支給のため、共働きの妻の場合には年収が850万円未満であることが必要です。

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

会社員を辞めた後に亡くなった場合には、遺族厚生年金や寡婦加算を受け取ることができなくなる可能性があります。起業して個人事業主になるなど働き方に変更がある場合には、遺族への保障が小さくなるので民間保険で備えるなど検討しましょう。

この記事を書いたアドバイザー

アドバイザーの写真

三原 由紀 (みはら ゆき)