障害年金の概要と計算の仕方

公的年金

障害を負って働けなくなった場合、障害年金の等級に該当すれば障害年金が受給できます。受給額は、等級や初診日に加入している年金の種類(国民年金か厚生年金)によって異なります。

障害基礎年金が受け取れる場合

障害等級と年金保険料納付の2つの要件を満たした場合に、障害基礎年金が受け取れます。

  1. 国民年金に加入している間に初診日があり、障害認定日に障害等級1級または2級に該当する場合。20歳前や60歳以上65歳未満(年金制度に加入してない期間)で日本に住んでいる場合も含みます。
  2. 国民年金加入中に障害の原因となった初診日があり、その月の前々月までの加入期間の保険料を2/3以上納付していること(保険料免除の期間も含む)。

特例として、初診日がある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ受け取る事が出来ます(初診日が2026年4月1日前にある場合)。

障害基礎年金

年金額は以下となります。

障害基礎年金 1級(昭和31年4月2日以後生まれ)

1,020,000円(816,000円 × 1.25) + 子の加算

障害基礎年金 1級(昭和31年4月2日以前生まれ)

1,017,125(813,700円 × 1.25) + 子の加算

障害基礎年金 2級(昭和31年4月2日以後生まれ)

816,000円 + 子の加算

障害基礎年金 2級(昭和31年4月2日以前生まれ)

813,700円 + 子の加算

816,000円と813,700円は2024年の老齢基礎年金満額を指し、この額は毎年見直しされます。子の加算は、第1子・第2子は各234,800円、第3子以降 各 78,300円 加算されます。
例えば、受給者が昭和31年4月2日以後生まれ、障害基礎年金2級で子どもが2人の場合1,285,600円、子どもが3人の場合は1,363,900円となります。

障害厚生年金が受け取れる場合

障害厚生年金は障害基礎年金に上乗せして支給されます。
その条件は次の通りです。

  • 国民年金の保険料納付要件を満たし、初診日が厚生年金に加入している間にあること。
  • 障害認定日に1級、2級、3級に該当すること。

さらに軽い程度の障害が残り、かつ、5年以内に治った場合は、「障害手当金」が受け取れます。

障害厚生年金

障害厚生年金1級の年金額は

報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金 234,800

障害厚生年金2級の年金額は、

報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金 234,800

障害厚生年金3級の年金額は、

報酬比例の年金額
(最低保障 昭和31年4月2日以後生まれ 612,000円)
(最低保障 昭和31年4月1日以前生まれ 610,300円)

同一生計の配偶者が65歳になるまでの間、配偶者加給年金額が加算されます。

さらに軽い程度の障害が残り、かつ、5年以内に治った場合は、障害手当金(一時金)が受け取れます。

障害手当金 = 報酬比例部分の年金額 × 2(最低保障 昭和31年4月2日以後生まれ 1,224,000円)
(最低保障 昭和31年4月1日以前生まれ 1,220,600円)

3. ねんきん定期便から障害厚生年金を算出する

障害厚生年金額は、その方の年収などにより変わります。その額を算出するための「報酬比例の年金額」は、ねんきん定期便で確認出来ます。

令和5年度「ねんきん定期便」(50歳未満)
ねんきん定期便(50歳未満)表

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

赤い囲みの部分は年金の受給資格期間です。ここが20歳以降の月数の2/3以上であれば、保険料の納付要件は満たします。なお、特例の要件を満たすかどうかは、裏面の直近一年の月別情報で確認します。

黄色い囲みⒷは、これまで納めた一般厚生年金保険料での老齢厚生年金額であり、黄色い囲みⒸは、これまでの一般厚生年金加入期間です。公務員・私学共済も同様に見ます。

障害厚生年金を計算する時は、Ⓒの期間が300ケ月無い場合、300ケ月あるとして計算されます。
例えば、障害厚生年金3級の場合、以下のように計算します。

Ⓑの金額Ⓒの月数× 300 … α

3級には、最低保障額612,000円(昭和31年4月2日以後生まれ)、610,300円(昭和31年4月1日以前生まれ)があります。
2級の場合は以下のように計算します。

α + 加給年金234,800円

1級の場合は以下のように計算します。

α × 1.25倍 + 加給年金234,800円

障害手当金は以下で、最低でも1,224,000円(昭和31年4月2日以後生まれ)、 1,220,600円(昭和31年4月1日以前生まれ)を一時金で受け取れます。

α × 2

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

障害年金は、障害を負う原因となった「初診日」に加入している年金制度によって、貰える金額が違ってきます。
会社にいるときに初診日があれば障害厚生年金の対象になりますが、初診日が退職後で国民年金加入のときは障害基礎年金のみになります。また、入社してすぐの初診日は、障害厚生年金の対象で、300ケ月厚生年金に加入したものとして受給出来ます。
早期退職をお考えの方、ちょっと体調が変だなと感じているのでしたら、早めに病院で診察を受けておきましょう。
もし、民間の保険に加入する場合は、ねんきん定期便で現時点での国の保障額を確認しておき、その上で不足する場合に加入を検討しましょう。

この記事を書いたアドバイザー

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林 智慮 (はやし ちりよ)