自営業の方が亡くなった時の遺族年金や一時金

公的年金

自営業の方は国民年金のみへの加入ですから、必然的に万が一の時の国の保障が少なくなります。

第1号被保険者死亡時に遺族が受けられる可能性のある遺族年金

自営業の方は「国民年金」に加入しており、被保険者区分は「第1号」となります。要件を満たせば万が一の時、以下の公的給付を受けられます。

対象 被保険者の要件 名称
子供 受給資格期間25年以上あるいは、全被保険者期間の2/3以上 遺族基礎年金
婚姻期間10年以上の妻 第1号被保険者としての保険料納付済み期間が10年以上 寡婦年金
老齢基礎、障害基礎年金が未受給のまま亡くなった方の遺族 第1号被保険者としての保険料納付済み期間36ヶ月以上 死亡一時金
厚生年金加入歴のある方の遺族 受給資格期間300ヶ月以上 遺族厚生年金
厚生年金加入歴のある方の妻 受給資格期間300ヶ月以上で厚生年金加入期間20年以上 中高齢寡婦加算

いずれか一方のみ

自営業(第1号被保険者)の遺族年金の受給要件

亡くなった第1号被保険者によって生計を維持されていた「子のいる配偶者」もしくは「子」には遺族基礎年金が支払われます。子とは、3月31日時点で18歳までの子、または20歳未満の障害年金の障害等級1級または2級に該当する婚姻をしていない子を指し、受給者の年収は850万円未満が条件です。

遺族基礎年金額 = 基本年金額(2019年老齢基礎年金額満額:780,100円) + 子の加算

子の加算

配偶者に支給される場合の加算
第2子まで、各224,500円
第3子以降各74,800円。
子に支給される場合の加算
第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記年金額を子の数で割った額。

亡くなった被保険者は、国民年金の被保険者あるいは国内在住の60歳以上65歳未満であることが条件ですが、更に保険料の納付要件である以下のうちいずれかを満たす必要があります。

  • 受給資格期間(保険料納付済み期間、免除期間の合計)が25年以上ある
  • 受給資格期間が全被保険者期間の2/3以上あること。(2026年3月31日までの特例:死亡日の「前々月までの直近1年」で滞納期間がなければ受給可)

平成29年9月から老齢基礎年金の受給資格期間が短縮(25年→10年)されましたが、遺族基礎年金を受給するための受給資格期間は25年以上です。

第1号被保険者の独自給付

寡婦年金

第1号被保険者としての保険料納付済期間(免除期間含む)が10年以上ある夫が亡くなった時、妻(10年以上継続して婚姻関係、生計維持)が60歳から65歳になるまでの間支給されます。

年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の3/4です。亡くなった夫が、障害基礎年金の受給権者であった場合、あるいは老齢基礎年金を受けたことがある場合は支給されません。また妻が老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合は支給されません。

死亡一時金

第1号被保険者として保険料納付済期間が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時、保険料の掛け捨て防止の意味もあり、その方と生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給されます。

  • 死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円です。
  • 付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されます。
  • 遺族が、遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。
  • 寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択します。
  • 死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

過去に厚生年金加入があれば受給できることもある遺族厚生年金と中高齢寡婦加算

夫が現在自営業者であっても過去に会社員として勤務していた方も多いと思います。会社員は第2号被保険者なので、加入期間によっては遺族厚生年金が、またその妻を対象として中高齢寡婦加算が受けられる場合があります。

  1. 遺族厚生年金は、受給資格期間(20歳からのすべての保険料納付済み期間)が300ヶ月以上ある場合、老齢厚生年金の3/4が配偶者(該当がなければ子ども)に支給されます。
  2. 遺族厚生年金が受給できる妻で、夫の過去の厚生年金加入期間が20年以上あり、妻自身が以下の条件に当てはまる場合には、65歳になるまで中高齢寡婦加算が支払われます。2019年度の金額は585,100円です。
    • 夫の死亡時、妻が40歳以上65歳未満で、「子」がいない。
    • 夫の死亡時、40歳未満だったが、40歳に達した時に「子」がいるため、遺族基礎年金を受けていた。

ねんきん定期便は要チェック

過去の第1号被保険者期間(A)、厚生年金加入期間(B)、受給資格期間(C)は、ねんきん定期便で確認することができます。

平成31年度「ねんきん定期便」(50歳以上)
ねんきん定期便(50歳以上)表

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

平成31年度「ねんきん定期便」(50歳未満)
ねんきん定期便(50歳未満)表

日本年金機構の「ねんきん定期便」画像を元に筆者が加工

公的保険アドバイザーからワンポイントアドバイス

年金制度は非常に複雑で覚えづらい点が多々ありますが、自己判断せずに専門家に相談するなどされると良いでしょう。公的保険の保障が不足する場合は民間保険も検討するなどしましょう。今後の生活スタイルに大きく影響を与える年金。しっかりと信頼できる人と情報を常に確保しておくことをオススメします。

この記事を書いたアドバイザー

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野原 亮 (のはら りょう)