2026年度施行:公的保険の改正・改定まとめ
2026年度(令和8年度)に施行される公的保険や関連制度の改正・改定の要点をまとめました。2026年は、公的年金や健康保険において、私たちの暮らしや働き方に身近な制度改正が予定されています。年金を受給しながら働く高齢者の在職老齢年金制度の見直しや、「106万円の壁」の撤廃など、働き方にも影響する改正が含まれています。制度改正の内容を確認しておきましょう。
2026年4月施行
公的年金
在職老齢年金制度の基準額引き上げ
在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働く場合、給与と年金の合計額が基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。2026年4月から、この基準額が「51万円」から「65万円」へ引き上げられます。
厚生年金の離婚時年金分割請求期限の延長
婚姻期間中の厚生年金の記録を離婚時に分割できる「年金分割」について、請求期限が現行の「離婚した日の翌日から2年以内」から「離婚した日の翌日から5年以内」へ延長されます。
健康保険法
被扶養者認定の年間収入基準見直し
健康保険の被扶養者として認められる年間収入の基準は130万円です。これまでは、年間収入が130万円を超える見込みとなると、就業調整を行ったり、一時的な収入増であることを事業主の証明などで確認したりする必要がありました。2026年4月からは、労働契約上の年間収入が130万円未満である場合は、原則として被扶養者として 認められることになりました。
子ども・子育て支援法
子ども・子育て支援金開始
少子化対策を強化するため、「子ども・子育て支援金制度」が始まります。健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度などの医療保険加入者が、保険料とあわせて支援金を負担します。集められた財源は、児童手当や育児支援サービスの充実などに活用されます。
- 関連リンク:2026年4月の改正ポイント整理
2026年8月施行
医療保険
高額療養費制度の見直し
高額療養費制度は、2026年と2027年に段階的な見直しが予定されています。2026年8月は、低所得者への配慮は維持したまま、それ以外の所得区分における自己負担限度額の引き上げや、長期療養者に配慮した年間上限額の新設などが実施されます。
2026年10月施行
公的年金
「106万円の壁」撤廃
短時間労働者が社会保険に加入するための要件の一つである「月額賃金8.8万円以上(年収約106万円相当)」が撤廃される予定です。。最低賃金が1016円を上回ると週20時間働けば月収8.8万円以上となるため、最低賃金の状況を踏まえ撤廃予定とされていましたが、令和7年に最低賃金が1016円以上となったため、撤廃されることになります。
短時間労働者の社会保険加入に伴う保険料調整制度
短時間労働者が新たに社会保険へ加入した際の保険料負担を軽減するための支援制度が始まります。事業主が従業員の保険料を一時的に負担することで、被保険者の保険料負担を最長3年間軽減できます。事業主が追加で負担した保険料は一定期間経過後に調整されるため、事業主の保険料負担は実質的に増えず、従業員が将来受け取る年金額にも影響しません。
国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除制度
自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者を対象に、子が1歳になるまで国民年金保険料が免除されます。実子・養子を問わず、子を養育する父母が対象となり、子が1歳になる誕生日の前月までの保険料が免除されます。免除期間は保険料を納付したものとみなされるため、将来受け取る年金額に影響はありません。
出典
- 在職老齢年金制度が改正されました|日本年金機構
- 子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁
- 高額療養費制度の見直しについて|厚生労働省
- 保険料調整制度のご案内|日本年金機構
- 令和8年(2026年)10月から国民年金保険料の育児免除制度が始まります!|日本年金機構
著作者情報
公的保険アドバイザー
前田菜緒