2025年4月手取り10割の出生後休業支援給付金とは

2025年4月より育児休業時の給付金の手取りが10割となる出生後休業支援給付金が創設されます。今回、申請方法が公表されたため手続き方法について解説します。
出生後休業支援給付金とは
出生後休業支援給付金とは、育児休業給付金や産後パパ育休の給付金に上乗せされる給付金です。給付率は給料の13%で、育児休業給付金の給付率である給料の67%と合計すると給付率は80%となります。これら給付金は非課税であり、要件を満たすと社会保険料も免除になることから、実質手取り100%の給付率となります。
ただし、出生後休業支援給付金を受け取るには要件があり、以下の通りです。
・父親の要件
子どもが生まれてから8週までの間に通算して14日以上の育児休業を取得、あるいは産後パパ育休を取得したこと
・母親の要件
子どもが生まれてから16週までの間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと
簡単に言えば上記の通りですが、「子どもが生まれてから8週(16週)までの間」とは、正確には「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間(16週間)を経過する日の翌日」を言います。
生まれた日については、予定日と実際に生まれた日のどちらか早い日をスタートとし、終了日については予定日と実際に生まれた日の遅い日から数えて8週・16週の翌日と設定されています。休業を取得しやすいように対象期間がなるべく長くなるよう設定されています。
出生後休業支援給付金の内容について詳しいコラムはこちら
(https://siaa.or.jp/column/133)
支給申請の手続き
手続きは育児休業給付や産後パパ育休の給付金とあわせて同一の申請書で申請をします。出生後休業支援給付金は両親とも一定期間育児休業を取得することが要件となっていますが、父親の場合は出生後から育児休業を取得できるのに対し、母親の場合は出産後は産後休業に入るため父親より8週遅れて育児休業期間となります。
そのため、出生後休業支援給付金の対象期間が夫婦でズレることになります。赤丸部分が出生後休業支援給付金です。
出典:厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」
赤丸は筆者追記
よって、母親が取得する際は父親取得後のため、申請書に父親の雇用保険被保険者番号を記載すれば良く、一方、先に取得する父親は申請の際に母親の状況を「配偶者の状態」欄に記載し申請することになります。
たとえば、母親が産後休業中の場合は「配偶者が産後休業中」を選択して母子手帳や医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)等を確認書類として添付します。また、配偶者がいない場合や配偶者が自営業者など雇用されない労働者の場合でも申請書にその旨を記載し、給付金を申請することができます。
配偶者が雇用保険に加入していない公務員の場合は、「配偶者の育児休業開始年月日」欄を記入して給付金の支給決定通知書の写しなどを添付して申請します。
収入面の不安なく育児休業を取得できることに
厚生労働省の調査では、男性が育児休業を取得しない理由の一つとして経済的理由がありました。育児休業を取得することで収入が減少するため育児休業を取得しないという理由ですが、今回の出生後休業支援給付金によって手取り10割の給付率となるため、収入面の不安はなくなるでしょう。
中小企業など育児休業の代替要員がいない企業においては、まだ解決すべき課題は残るかもしれませんが、男性の育児休業取得は少子化対策の一つです。制度の拡充とともに取得率も上昇していくことを望みます。
公的保険アドバイザー
前田菜緒