五月病に負けない体力と備え

税・社会保障 2026/05/01

新緑が目に眩しい季節となりました。新年度のスタートから1か月が経過した5月は、多くの方にとって「緊張の糸が切れる」時期でもあります。4月の環境変化による疲れが、いわゆる「五月病」に代表されるメンタルヘルスの不調や、大型連休後の生活リズムの乱れを引き起こし、社会現象につながっています。


そんな中での私たちの生活は、平穏な日常を守ることにあり、1年間走り抜くための体力や精神力では計り知れない力を必要としています。今月は、五月病のリスクを公的保険と重ね合わせて考えていきましょう。


5月に最も懸念されるのは、心身の不調による休業リスクです。ここでまず立ち返るべきは、健康保険法に基づく「傷病手当金」の存在です。


傷病手当金のおさらいですが、業務外の病気やケガで連続3日以上休み、4日目から給与が得られない場合、標準報酬日額の約3分の2が最長1年6ヶ月間支給されます。アドバイスポイントとしては、2022年の制度改正により、支給期間が「通算化」された点は重要な項目です。メンタル疾患のように、復職と再発を繰り返しやすいケースでは、この通算化が大きな支えとなります。


ただし、傷病手当金だけでは従前の手取り額をカバーしきれず、住宅ローンや教育費の支払いに支障が出る可能性があります。ここで、民間の「就業不能保険」による上乗せ提案が、該当の方にとって重要な意味を持ちますので、自助努力の観点からも重要となります。


次に、5月は特定健診(メタボ健診)の案内が届き始める時期です。公的医療保険制度の持続可能性を考える上で、受診率の向上は不可欠な課題です。


軽微な不調であれば、適切に市販薬を活用しつつ、予防に注力する。この「セルフメディケーション税制」の活用も、家計を守る知恵の一つです。健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方で、「年間で10万円には届かない」という方にとって大きなメリットとなります。特定の成分を含むスイッチOTC医薬品(市販薬)の購入額が年間1.2万円を超えた場合、その超えた分(上限8.8万円)を控除できる制度です。条件としては、健康診断や予防接種など、健康の保持・増進のための一定の取組を行っていることが条件です。


近年の働き方ではテレワークもあり、在宅で仕事を続けていると歩くことをしない人も多くなってきています。生活習慣病予防の観点からも健康の保持増進は欠かせませんので、税制のメリットともに考えていきたい制度です。


最後に、本年4月から自転車の走行に関しても大きな改正があり、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。そんな中、5月は「自転車月間」でもあります。自転車活用推進法では、国民の間に広く自転車の活用の推進についての関心と理解を深めるため、5月5日を「自転車の日」、5月1日から5月31日までの1か月間を「自転車月間」とし、都道府県、市町村、関係団体等の協力を得て、自転車の活用の推進に関する啓発活動を幅広く実施しています。


自転車に関するアドバイスとして、火災保険や自動車保険の特約を精査し、無駄な重複を省く一方で、家族全員が「高額賠償(最大1億円程度)」に耐えうる保障を持っているかを確認することもポイントとなります。


「五月晴れ」の空の下、心穏やかに毎日を過ごすためには、万が一の際の「出口戦略(=給付)」が見えていることが不可欠です。制度を理解している方が、公的保障と民間保障の「架け橋」となり、相手に「知る安心」を提供していくことが、5月を乗り切るポイントとなりそうです。


公的保険アドバイザー協会
理事 福島紀夫