離婚時の年金分割、請求期限が2年から5年へ──2026年4月改正、手続きの注意点も解説

年金 2026/04/07

2026年4月から、離婚時の年金分割の請求期限が、これまでの「2年以内」から「5年以内」に延長されました。今回は、この改正の背景と内容を、手続き上の注意点も含めてわかりやすくお伝えします。

 

年金分割とは

年金分割とは、婚姻中の厚生年金の記録を、離婚時に分け合うことができる制度です。専業主婦や扶養内パートとして過ごした期間が長い方ほど、老後に受け取れる年金額が少なくなりがちです。年金分割を利用することで、将来の年金額を増やすことができるため、年金分割は老後の生活を支える重要な権利となります。

なお、分割の対象となるのは厚生年金(報酬比例部分)のみです。国民年金(基礎年金)は対象外となるため、自営業・フリーランスなど厚生年金に加入していない場合は、そもそも分け合う年金記録がないため、この制度を利用することができません。

年金分割の詳しい制度内容については、こちらのコラムを参考にしてください。
離婚時の年金分割と年金額を知る方法

 

なぜ請求期限が延長されたのか

これまで、年金分割の請求期限は「離婚した日の翌日から2年以内」と定められていました。財産分与についても同様で、請求期限は2年と定められていました。しかし、DVやモラハラから逃れて生活再建している人にとって2年は短く、2026年に民法が改正され、財産分与請求権の期限が2年から5年に延長されました。

 

これに合わせる形で、年金分割の請求期限も同様に5年へと延長され、2026年4月1日から施行されています。

 

改正の内容と注意点

今回の改正で、注意していただきたいのが5年の請求期間が適用となる離婚の時期です。

  • 2026年4月1日以降に離婚した場合 → 請求期限は「5年以内」
  • 2026年3月31日以前に離婚した場合 → 従来どおり「2年以内」

「改正されたから5年ある」というわけではありません。離婚日が2026年3月31日以前の方は、ご自身の請求期限をご確認ください。

 

手続きの流れと注意点

年金分割を行うには、手続きが必要です。大まかな流れは次の通りです。

  1. 情報提供請求:年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取り寄せ、分割の対象期間や按分割合の範囲を確認します。分割対象の年金額が分かるため離婚前に行っておくと良いでしょう。
  2. 按分割合の決定:夫婦で合意するか、合意が難しい場合は家庭裁判所での調停・審判を申し立てます。合意内容は公正証書を作成しておくと安心です。
  3. 標準報酬改定請求書の提出:離婚後に年金事務所に書類を提出して手続きをします。ただし、合意分割において、公正証書を作成せずに「合意書」のみ作成した場合は、原則として2人(代理人可)がそろって窓口に来所する必要があります。

 

ここで、注意が必要なのが、手続きに必要な「元配偶者の戸籍」の取得です。

年金分割の手続きでは、相手方の生存を証明できる書類として、戸籍抄本か住民票が必要です。戸籍においては、元配偶者の戸籍に自分の名前が「除籍」として記載されていれば、取得することができます。しかし、離婚後に元配偶者が新たな戸籍を作成している場合(再婚などにより別の戸籍が作られた場合など)は、その戸籍に自分の名前の記載がないため、原則として取得することができません。

ただし、元配偶者の戸籍に自分の子どもが記載されている場合は、直系尊属(親)として取得できるケースもあります。状況によって対応が異なります。戸籍をスムーズに取得するためにも手続きは早めの方が安心です。

 

まとめ

年金分割の請求期限が5年に延びたことで、準備できる環境が長くなりました。ただし、分割手続きができる状況であれば、早めに手続きをしておくことをおすすめします。離婚後は、引っ越しや姓の変更手続きなど、しなければならないことがたくさんあり、思いのほか時間がかかることがあります。また、時間がたってしまうと年金分割の手続きを忘れてしまうということにもなりかねません。

まずは最寄りの年金事務所で情報通知書を取り寄せ、年金の確認とともに離婚後の生活設計を考えることからはじめてみてください。

 

公的保険アドバイザー
 前田菜緒 


 参考:日本年金機構「離婚時の年金分割について」https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/5-1.pdf