マイナンバーカード保険証の有用性は
マイナンバーカードを利用した健康保険証の利用がスタートしました。国は、カードの普及に努めるための策を出してきていますが、まだ不安の声が多いことも事実です。しかし、働き方改革などで仕事の効率化や合理化を進めている中で、このような公的保険に関連する合理化も今後は私たちにメリットとなって返ってくるのではないかと考えます。
今月は、マイナンバーカード保険証(以下「マイナ保険証」)の有用性について考えてみます。
マイナ保険証を利用することで、以下のようなメリットがあるといわれています。
- 就職、転職、引越しをしてもずっと健康保険証として利用できる
- マイナポータルで、特定健診情報や診療、薬剤情報、医療費が確認できる
- マイナポータルで、確定申告の医療費控除が簡単にできる
- 医療機関の窓口で、顔認証で自動化による受付のほか、保険証以外の書類の持参が不要になる
- 医療機関の窓口で、限度額以上の一時的な支払い手続きが不要になる
- 初診料、再診療時の診療報酬が減額される
このように、医療機関を受診する側とすると、患者負担を減らしてメリットを享受できるような仕組みを考えているということになります。
反対にデメリットもまだまだあり、マイナ保険証に適用していない医療機関を受診する場合は従来の健康保険証と2枚持ち歩かなければならないことや、マイナンバーカードを紛失しないかという心配も残ります。
マイナンバー制度がスタートして、個人情報の流出問題が騒がれましたが、今のところ大きな事故は起きていないものといえます。もっとも、紛失すると大変なことになるということから持ち歩かないことも事故が起きていない一つの理由かもしれませんが。
でも、よく考えてみると、普段持ち歩いている金融機関のキャッシュカードやクレジットカードなども、個人情報さえ入っていませんが、紛失すれば利用停止の手続きをしなければなりませんし、仮に他人が悪意を持って利用したとしても救済を受けることも可能です。マイナンバーカードも紛失や盗難の際には24時間体制で利用停止の措置を行ってくれますので、対応としては万全であると期待したいところです。
また、マイナンバーカードは、健康保険証だけでなくねんきんネットを利用する上でも有効に活用できます。自身の過去の保険料の納付履歴などが確認でき、毎年送られてくるねんきん定期便を紛失してしまっても記録の確認ができることになっています。
マイナンバー制度は、個人情報を国に抑えられているとか、管理されているなどという噂がありますが、仮に管理されていたとしても個人にデメリットがあることはないのではないでしょうか。国もDXを進める上で安心できる制度の構築を目指していると思われますので、自身の管理をきちんと行っていれば紛失や盗難の可能性も軽減できます。
新たな制度には不安や懸念はつきものですが、メリットを享受できることを考えて進めてみてはいかがでしょう。
公的保険アドバイザー協会
理事 福島紀夫