スキルアップで希望する職業に。公的職業訓練「ハロートレーニング」 とは

雇用保険 2022/11/04

働きたいけれどブランクがあって就職に自信がない、パートだけど正社員を目指したい、スキルを身に付けて再就職したいなど就職したいけれどスキル面で不安に思っている人は少なくありません、特に、筆者は女性からそのような声をよく聞きます。

今回は、キャリアアップやスキルアップして就職を目指せる雇用保険のハロートレーニングについて解説します。
 

ハロートレーニングとは

ハロートレーニングとは、雇用保険の職業訓練制度で、主に雇用保険の失業給付を受給している求職者が利用できる「公共職業訓練」と失業給付を受給していない求職者が利用できる「求職者支援訓練」の2つの制度の総称です。2つの制度の違いや内容は以下の表の通りですが、詳しく制度内容を確認していきましょう。

出典:東京労働局「ハロートレーニング(職業訓練)について」

 

公共職業訓練とは

公共職業訓練には、「施設内訓練」と「委託訓練」の2種類があります。施設内訓練としては、都道府県の職業能力開発校等が実施する職業訓練制度があります。訓練期間は3か月〜2年で、機械系、建築系、電気系、情報系、造園等の分野においてスキルを身に付けることができます。

朝から夕方まで授業を受けるため、学校で専門技術を学ぶイメージです。子育て中でも学べるよう保育サービスが実施されていることもあります。授業料は基本的に無料ですが、有料の科目もあり、東京都の都立職業能力開発センターの場合は年額11万8,800円です。無料の場合でも、テキスト代や作業服などは自己負担です。

一方、委託訓練は都道府県が民間の教育訓練機関に委託して訓練を実施している制度です。訓練期間は3か月〜2年で、情報系、介護医療系、事務系などの科目を民間の教育機関で学びます。一例として、東京都の江上料理学院のフードビジネス科では、調理、メニュー開発、食品マーケティングができる人材を目標として授業が行われています。受講料は無料ですが、テキスト代などは自己負担です。

令和2年度の公共職業訓練の就職率は「施設内訓練」が83.7%、「委託訓練」が71.3%という高さです。在職者向けにもコースがありますから、スキルアップ、キャリアアップを目指すなら活用してみると良いですね。


求職者支援訓練とは

主に雇用保険の受給ができないハローワークの求職者を対象として無料の職業訓練を受けられる制度です。要件に当てはまれば、月10万円の生活支援給付金の受給も可能です。給付金を受けられる人は、自営業を廃業した人や雇用保険の適用がなかった離職者、雇用保険の受給が終了した人などで、下記の要件を満たす人です。

・本人の収入が月8万円以下
(令和5年3月末まではシフト制で働く人などは月12万円以下)
・世帯全体の収入が月25万円以下(令和5年3月末までは月40万円以下)
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・全ての訓練実施日に出席している(やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上の出席率がある)
・世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない

訓練期間は2〜6か月でパソコンの基礎やIT系、営業・販売・事務系、医療事務系、デザイン系、介護福祉系など幅広いコースが準備されています。受講費用は無料でハローワークが求職活動もサポートしてくれます。

基礎コースと実践コースの2つのコースがあり、令和2年度の基礎コースの就職率は52.5%、実践コースの就職率は60%です。託児サービス付きのコースやオンライン受講ができるコースもあり、子育て中の女性でも受講しやすい工夫がされています。

デジタル分野の職業訓練では女性の就職率は75.8%だそうです。月10万円の給付金要件に当てはまらなくても、受講は無料ですから、積極的に制度の活用を検討したいですね。
 

まずは、ハローワークへ

「子どもがいるから」「ブランクがあるから」「今さら正社員になれない」という女性の声をたくさん聞きます。しかし、このような制度を活用できれば前向きに就職を検討できるのではないでしょうか。ハロートレーニングを受けるには、ハローワークで申し込み、面接や試験を受けます。講座の開講日はコースによって異なり、すぐに受講できるわけではありません。都合の良いスケジュールで受講できるよう、まずは、お近くのハローワークに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

公的保険アドバイザー
前田菜緒