帰省するお盆に備えて親の介護を考える

お盆の時期には帰省をする人も多いことでしょう。久しぶりに会った親に対して、「老けたな」と感じたり、ちょっとした変化に気づいたりすることがあるかもしれません。これまで、当然のようにできていたことに不自然さを感じたり、言動に違和感を覚えたりすることもあります。そこで、帰省に備え、事前に知っておきたい介護の相談先や介護保険サービスについて解説します。
まずは相談先を確認
親の様子に違和感や不安を感じたら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談しましょう。地域包括支援センターとは、市町村が設置している公的な相談窓口で、地域の高齢者が健康でその人らしい生活を続けられるよう、介護や福祉・医療・暮らしに関するさまざまな相談に対応しています。
介護に関する相談ができるのはもちろんですが、生活の困りごとも相談が可能です。困りごとに対して利用できるサービスを紹介してくれたり、介護が必要であれば、介護保険サービス利用についての情報提供をしてくれたり要支援・要介護申請も行うことができます。医療機関やその他関連機関との連携も行っているので、相談者に応じた幅広い支援を受けられます。
地域によっては複数のセンターが設置されていますので、「親が住んでいる市町村名 + 地域包括支援センター」で検索して、あらかじめ場所や連絡先を調べておくと安心です。
介護保険ではどのようなサービスを受けられる
介護保険で利用できるサービスは、「要支援」と「要介護」の認定によって異なります。ここでは、要介護認定を受けた場合に利用できる主なサービスと費用の目安(1割負担の場合)を紹介します。
訪問介護
ホームヘルパーが利用者の自宅で食事や排せつ、入浴の介護や掃除、洗濯など生活援助を行います。
身体介護(30分以上1時間未満):387円
生活援助(20分以上45分未満):179円
通所介護(デイサービス)
生活は自宅で行いますが、日中に施設に通い食事や入浴などの生活支援を受けることができます。
要介護2の場合、1回の利用者負担目安:777円
住宅改修
手すりの設置など住宅改修に対して介護保険から保険給付があります。上限額は20万のため、1割負担なら保険給付される金額は18万円が上限です。
福祉用具のレンタル
車いすや歩行器など13品目の福祉用具をレンタルすることができます。要介護度に応じて対象品目は異なり、原則、貸与にかかる費用の1割を負担します。
なお、いずれのサービスも利用者負担は、原則1割ですが、所得に応じて2~3割となります。また、地域によっても利用料金の設定は異なります。
介護保険サービスを利用するには「介護認定」が必要
介護保険を利用して介護サービスを受けるには、まずは介護認定を受ける必要があります。認定をうけるには、市区町村の窓口や地域包括支援センターで介護認定の申請を行います。
その後、市区町村の職員等から聞き取り調査があり、かかりつけ医の意見書の作成、コンピューター判定などを得て、「要支援1・2」または「要介護1~5」に認定されます。申請から認定まで約1ヶ月かかるため、すぐに利用できるわけではないということは覚えておきましょう。
帰省したら親に確認しておきたいこと
介護保険を利用する、しないにかかわらず、帰省時には以下のことを確認しておくことをおすすめします。きょうだい間で情報共有しておくと、なお良いでしょう。
・かかりつけ医の確認
・地域包括支援センターの場所の確認
・加入している保険の内容の確認
・生活の中で困りごとはないか
・介護保険被保険者証の保管場所
介護保険被保険者証は、65歳になる前月に市区町村から郵送されます。介護認定申請の際に必要なため、保管場所を確認しておきましょう。(紛失事例が多いため、交付時期変更が検討されています。)
お盆の帰省を“備えの時間”に
お盆の帰省は、親子で話をする貴重なチャンスです。いつかはやって来る介護ですから、少しずつ情報を得て、いざというときは慌てないように準備しておきましょう。
公的保険アドバイザー協会
前田
<参考>
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」