2022年4月から変わる育休制度とは?

雇用保険 2021/06/14

2021年6月3日に育児・介護休業法の改正が可決されました。現行の育児・介護休業法からどのように変わるのでしょうか。改正点を確認します。

(2021年時点の育休制度についてのコラムはこちら)
 

1、出生後8週以内の男性の育休取得について(2022年10月ごろ)

子どもが生まれて男性が休暇を取得したタイミングは、出生後8週間以内の割合が最も多いため、子どもが生まれて8週間以内に4週間まで育休を取得できる仕組みができました(出生時育児休業)。分割して2回取得できるので、仕事の都合を見ながら、短期間ずつ柔軟に育休を取得できるようになります。
また、育休取得の申し出は、現在1ヶ月前までとなっていますが、2週間前までに変更になります。

さらに、育休中でも仕事ができるようになります。ただし、労働者と事業主が合意した範囲であること、労使協定を結んでいることなど条件があります。また仕事ができる日数や時間に上限が設けられる予定です。
 

2、育児休業の分割取得が可能に(2022年10月ごろ)

現行制度では育休は原則1人の子に1回しか取得できませんが、分割して2回まで取得可能になります。今回の改正において、男性は出生後8週間以内なら2回育休を取得できるようになりますから、男性の場合、合計4回取得できるようになるということです。

また、1歳以降に育休を延長するケースにおいて、現行だと夫婦交代で育休を取得する場合、交代できるタイミングが限定されていますが、改正後は柔軟に夫婦交代して育休を取得できるようになります。

      出典:厚生労働省「男性の育児休業取得促進等に 関する参考資料集」 

 

3、有期雇用労働者の育休取得要件の緩和(2022年4月1日)

現行制度で有期雇用労働者が育児休業取得する際は①雇用期間が1年以上②1歳6ヶ月までに契約が満了しないという2つの要件を満たしていないと育休を取得することができません。

今回の改正で①の要件がなくなります。ただし、労使協定で雇用期間1年未満の労働者を除くことは可能です。
 

4、育休取得促進のための環境整備(2022年4月1日)

本人や配偶者が妊娠・出産したとの申し出があった場合、企業は育休制度について周知をし、取得するかどうか意向を確認することが義務付けられます。現在は、努力義務となっており、男性においては6割以上が企業からの働きかけがなかったと回答しています。なお、育休取得を控えさせるような周知の方法や意向確認は認められません。

そのほか、育休を取得しやすいように研修を実施したり、相談窓口を設置したり、企業は育休を取得しやすい社内環境整備に向けた対応が必要になってきます。
 

5、育休取得状況の公表を義務づけ(2023年4月1日)

従業員が1000人超の企業は育休取得状況を公表しなければいけません。具体的な公表内容については今後決定される予定です。

男性育休取得率30%を目指して

男性の育休取得率は、2019年時点で7.48%と低水準です。政府はこの取得率を2025年には30%にあげることを目標にしています。今回の改正は、労働者・事業主双方に影響があり、男性の育休取得促進が期待されます。労働者側は、育休取得方法の選択肢が増えますから、仕事と調整しながら育休取得を計画的に考えると、納得できる育休を取得できるのではないでしょうか。

公的保険アドバイザー 前田菜緒