年金に割引制度がある?おトクな納め方とは

年金 2021/05/14

自営業や学生、フリーターなどが納める国民年金には、保険料の割引制度があるのをご存知でしょうか。会社員や公務員の方が納めている厚生年金には残念ながら割引制度はありませんが、国民年金の割引制度はかなりおトクです。では、どのくらい割引されるのでしょうか。割引制度についてお伝えします。
 

割引の仕組み

国民年金には、納め方が複数あります。口座振替、現金払い、クレジットカード払い、電子納付です。電子納付とは、インターネットバンキング等を利用して納付する方法です。

どの納め方にしても割引はありますが、割引が効くのは、前払いしたときで、複数月分をまとめて納めると割引額が大きくなります。納める方法によって割引の大きさが違い、最も割引が大きいのが口座振替です。その他の納め方はすべて割引率が同じです。では、どの程度割引されるのでしょうか。


割引率はどのくらい

・口座振替

口座振替の場合、下記の5種類の振替方法がありますが、割引がきくのは、このうち1〜4の振替方法です。

1、2年前納
2、1年前納
3、6ヵ月前納
4、当月末振替(早割)
5、翌月末振替(割引なし)

割引額は、下記の通りです。

                                         日本年金機構「国民年金前納割引制度(口座振替 前納)」より

 

国民年金の保険料は、月額16,610円(2021年度)です。2年前納をすると、割引額が15,850円ですから、約1ヵ月分の保険料が割引になるということです。割引額は年率4%で複利計算されており、年平均にすると約1.8%の割引になるということなので、普通預金の金利に比べると十分な割引率と言えそうです。

・現金払い、クレジットカード払い、電子納付

現金払いなどの場合、下記の4種類の振替方法があり、割引がきくのは1〜3の方法です。

1、2年前納
2、1年前納
3、6ヵ月前納
4、毎月払い

割引額は下記の通りです。

口座振替より割引額は小さくなりますが、それでも十分おトクな割引です。それに、クレジットカード払いにすると、ポイントもつきます。ポイント還元率が1%なら2年前納の場合、約3800ポイントつくわけです。お持ちのクレジットカードのポイント還元率によっては、口座振替よりクレジットカードで納付したほうが、実質の割引が大きくなるかもしれません。


前納する方法は

口座振替、クレジットカードの場合は、口座振替申出書、クレジットカード納付申出書を年金事務所に提出するか郵送します。2021年度の2年前納、1年前納、6ヶ月前納については、申込み締め切りが2月なので、過ぎてしまいましたが、2021年10月〜2022年3月分の6ヶ月前納の締切日は、2021年8月31日です。

すでに口座振替やクレジットカード払いをしていて、1年前納から2年前納に変更するなど振替方法を変更する場合でも、再度申し込みが必要です。

思いついた時に手続きをしておかないと、忘れてしまいますから、今のうちに来年分の前納手続きをしてしまうと良いかもしれませんね。ただし、残高不足で口座振替ができなかった場合や、クレジットカードの限度額オーバーなどで納付ができなかった場合は、自動的に割引なしの毎月納付に切り替えになりますから、十分注意しましょう。

一方、現金や電子納付など、納付書で納める場合は、今からでも前納可能です。6ヶ月、1年、2年前納するなら申込みのタイミングがあるのですが、任意の月から来年度末、翌年度末までの分を前納することができるからです。もちろん、割引もあります。この場合、専用の納付書が必要になりますから、年金事務所に問い合わせてみましょう。


未納にしない工夫を

保険料は、60歳になるまで払い続けますから、割引額をトータルすると大きな金額になります。うっかり手続きを忘れて未納にしてしまうことのないよう、自分にとってオトクな方法を見つけて納めていきたいですね。


公的保険アドバイザー 前田菜緒