仕事中に新型コロナウィルスにかかったら

労働・雇用 2020/06/01

自粛生活が長くなり在宅勤務にも慣れてくると、新しい生活様式という考え方にシフトしていくのも悪くないと思うのは私だけでしょうか。やむを得ず電車に乗っていても空いていることや、在宅勤務などで人と直接接することなく仕事が進むことなどを考えると、これからもこのような働き方、生活でもよいと思えるようになっています。
コロナ禍における感染者は減少傾向になりましたが、収束に向かい完全な復活に至るまでは一人ひとりの自覚が大切です。感染予防を忘れないことが大切なことに変わりはありませんので、引き続き注意しながら生活していきましょう。とはいえ、人との接触を避けられずに仕事を進めている中で、万が一感染してしまうケースも想定されますので、その場合の対応について考えてみます。

在宅勤務ができる方は感染予防の対策も取れますが、医療従事者や接触が避けられないような対面の職業の場合、リスクを抱えながら仕事をすることになります。仮に、仕事中に罹患した場合や関連していそうな場合、労災はどのように適用されるのでしょうか。4月下旬に政府が発表した労災に関するまとめを確認しておきます。

この感染症については、従来からの業務起因性の考え方に基づき、労災保険給付の対象となるものですが、その判断に際しては、感染症のその時点における感染状況と、症状がなくとも感染を拡大させるリスクがあるという感染症の特性にかんがみた適切な対応が必要となるとしています。
当分の間、細菌、ウィルス性感染による疾病の運用については、調査により感染経路が特定されなくとも、業務により感染したという確信が高く、また業務に起因したものと認められる場合には、これに該当するものとして、労災保険給付の対象とするとしました。

医療従事者等
患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること
医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたもの
感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること
医療従事者等以外の労働者であって上記2以外のもの
調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること
この際、新型コロナウイルスの潜伏期間内の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること。
(ア)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務
(イ)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務
以上のように、医療従事者だけでなく、第三者と接触する機会が多い方にはリスクはついて回ることが多いため労災の適用範囲を拡大した考え方になっています。

もちろん罹患しないようにすることが求められますので、仕事をする際も外出する際も、もうしばらくはガマンの時をみんなで過ごしていきましょう。

(公的保険アドバイザー協会 理事 福島紀夫)