2020年の年金に関するテーマ

年金 2020/02/01

新しい年になり早くも1か月が過ぎようとしています。毎年時間が経つのが早く感じるようになりました。今年はオリンピックイヤーでもありますので、何かと慌ただしい一年になりそうな気がいたします。オリンピックといえば、みなさんはチケットを確保されていますか?私は確保することができず(申し込んでいないという事実も)、生きているうちにもう一度開催されるのなら、次こそはと考えているところです。

さて、新年は新たな気持ちでスタートをされていると思いますが、年末私のまわりでは入院していた方が数名いたことがわかり、自身の健康や生活に一層気を付けなければならないと気を引き締めたところです。
一度定年でリタイアした知り合いも、健康面を気にしてパートタイムのお仕事を始めたそうです。1年間仕事に就いていなかったのですが、やっているうちに体力も勘も戻るだろうと高を括っていたところ、意外にもついていくのがやっとの思いで、こんなことならずっと仕事をしておくべきだったと回顧していました。やはり、働くことは健康面でも精神面でも大切ということですね。
働く面では年金の改正も後押ししそうな予定になっています。まとめると次のような項目になります。

厚生年金適用拡大(2024年には従業員数51人以上の企業に勤めるパートタイマーが加入)
年金受給開始年齢拡大(現行70歳までを75歳まで繰下げる)
在職老齢年金の見直し(60歳から65歳未満の基準額を47万円に引き上げ)
在職定時改定の創設(65歳以降、毎年1回年金を再計算)
厚生年金等級の引き上げ(62万円の上限を65万円に改正)
あくまでこれからの国会での審議後になりますが、これらのことが考えられています。

この中でまだ様々な議論がされているのが、①の厚生年金の適用拡大ではないでしょうか。中小企業の団体では適用拡大に反対しており、人手不足の状況に拍車をかけることになるとしていますが、みなさんはどう思われますか。公式な見解ではありませんが、ある調査ではパートタイマーで働く人のアンケートが出ていました。それによると適用拡大について約55%の方が賛成としており、その理由は「年金が増える」「保険料は半分会社が負担してくれる」「年金に加入したかった」という意見が多いとしています。一方で反対する率は約14%で、その理由は「負担増になる」「収入が減る」といった目先のものが続きました。
このような反対意見もわかるのですが、企業側や団体が負担増ということにクローズアップしすぎており、将来の年金が減ってしまうことを補填しようという動きが少ないことに残念な思いがしてきます。適用拡大は、年金が増えるチャンスです。まだまだ繰下げを行う割合は少ないですが、この先の議論ではいかに増やしていくかということが重要になってくるといえます。年金が「増える仕組み」を選択せず、「減る仕組み」を選択することは、今後の長生きリスクから目を背けてしまうことになりかねません。これだけ長生きする時代なのですから、自身の長生きをリスクとしてとらえるべきであると考えます。

前述したリタイア後に再就職した知り合いは、1年間のんびりとした時間を過ごし、それはそれでこれまでの人生を振り返るには良い時間だったと言っていました。しかし、再度働くことになったときのギャップは想像以上だったと漏らしていました。「亭主元気で留守がいい」とはよく揶揄したものです。ある統計では、日本人は長期休暇などに慣れていないため、2週間ほど何もしない時間が経つと不安になり、何かに所属していないと落ち着かない人種なのだそうです。
今年のテーマとしては、オリンピックにあやかって体を動かす、一生懸命働くことをテーマとして掲げてみてはいかがでしょう。

(公的保険アドバイザー協会 理事 福島紀夫)