これからのシニア世代の生き方を考える

年金 2019/11/01

先日、当協会の第1回公的保険アドバイザーフォーラムが開催されました。多くの方にご参加いただき、金融サービスの視点から、保険販売の視点から、そして今後の年金の動向を新しい視点から支えていく講師陣から熱いメッセージが届けられました。
俗に言われる年金2000万円問題の渦中にいた講師からは、危機感をもたずに冷静に判断する考え方も示され、2000万円が悪いような形で一人歩きしてしまったことへの懸念も示されていました。自分の将来設計をしていく上で、再度向き合わなければならない問題ととらえることが大切であると改めて感じました。

そして、メインイベントでは人生100年時代と第一声を発した小泉進次郎議員と行動を共にされている村井英樹衆議院議員から熱いコメントが繰り広げられました。
その中で感じたことをいくつかお伝えいたします。

まず、年金支給開始年齢が70歳になるとか70歳を過ぎてまで働かなければならないと言われている時代ですが、半世紀前と比べても今のシニア年代は若いということです。この10年ほどで、高齢者の体力や能力は明らかに5歳若返っているという数値も示されました。そう感じる方も少なくないでしょう。私自身もそのように感じています。50代、60代になっていく中で、昔思い描いた年齢層と自分を比べると、本当に近づいているのだろうかと思うところはありますが、70代は年寄りであるといった固定観念の枠を取っ払うことが必要だと述べていました。時代の変化は社会現象だけでなく、私たちの体や考え方のフレームワークも変えてきているのです。
そう考えると、70歳まで働かなければならないではなく、健康で元気なうちは社会に貢献できるように働こうと考え方を変えていく生き方が必要であるということです。
また、年金に限った話ではありませんが、考え方という点では前提条件を間違えてしまうと結論も変わってしまうことはよくあります。年金の議論では、今までと同じような前提条件で話を進めるのでいつもと同じような回答しか出てこないということをおっしゃっていました。つまり、高齢化による年金の支え手である若い世代の負担カットと、合わせて現役世代の負担増という観点から話を進めてしまうので、年金の将来は暗いというイメージになってしまいがちですが、こういったマイナス要因の話ではなく、前述したように自分自身まだまだ働ける、70歳を過ぎたって元気でいられるとプラス思考に思うことが大切であるということです。

人が生きていく上での生きがいや働きがいは、マイナス要因からは発生しません。周りから信頼されることとか、人から認めてもらうことで自己肯定感は高まります。それを、2000万円問題のように暗い事象としてとらえてしまうのはもったいないということです。否定論から肯定論に、明るく転じるべきであるといえます。

今回のアドバイザーフォーラムでは、これまでの考え方や思考能力を別の視点から考える、違う位置から俯瞰して見てみることが大切であることを学ばせていただきました。そのためには、社会も変わっていくことに自分自身も行動変容しなければならないということではないかと考えます。
100年時代という根拠がどこにあるのかと思いましたが、社会構造とともに自身の変わり方も大切です。そうなると、年金のもらい方も変わってくるでしょう。
「年金は保険」、「年金は自分で作るもの」は当協会の大きな発信テーマです。ぜひ今後の変化を的確にキャッチしていただきたいと考えます。

(公的保険アドバイザー協会 理事 福島紀夫)