副業をする場合の労災保険はどうなる

労災保険 2019/06/01

働き方改革では、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得義務などが話題になっていますが、働き方の多様化も改革のテーマです。
正社員の身分を残しながら短時間勤務をするケースや男性の育児休業の促進などもその一つですが、副業や兼業をすることも奨励しています。
現在就いている職業とは別のことをすることで見聞を広げようとする趣旨ですが、社会保険などの問題が解決されていないことはご存知でしょうか。
社会保険の適用は、ご存知のように通常の労働者の労働時間の4分の3ですので、それを副業で超えることはまずないかと思いますが、週20時間の労働を2ヶ所で行う場合など、雇用保険の適用はどのようになるのでしょう。
実は、雇用保険は二重加入することはできず、主たる賃金をもらう事業所のみで加入することになりますので、これは特に大きな問題にはならなさそうです。

これら公的保険の中で未解決の問題が「労災保険」です。実は、副業が少しずつ増えていった数年前から議論されておりましたが、今回の働き方改革の中には盛り込まれず、問題が残ったままなのです。
仕事をする上での補償がどのようになっているのか、副業における労災保険の問題について考えてみましょう。

仮に、メインの就業先(A)での賃金が15万円、別の就業先(B)での賃金が5万円程度あるとします。この方が就業先(B)で労災にあった場合、労災の休業補償は、(B)の5万円に対してのみの補償となってしまうのです。
休業補償となると、本業での就業も困難になるため、メインの賃金が入らないばかりか、副業での賃金がベースになりますので、のんびり休んでいる場合ではないということになり、二次災害につながってしまう事態になりかねません。

【例】就業先A・Bを兼業し月合計20万円の賃金を得ている労働者が、就業先Bで事故に遭い、就業先A・Bともに休業した場合

出典:厚生労働省「複数就業者の労災保険給付について」

また、複数事業所で働く場合には過重労働になる危険性も高く、労災認定の基準の中で、1ヶ月あたりの時間外労働が100時間を超えるような場合は、脳・心臓疾患の関連性が高いとされますが、複数事業所で働く場合には労災認定にあたっての個別の事業所が特定できないため、労災認定がされません。
これは、万一のことがあった場合には大きな問題になりかねませんので、最大の注意が必要といえます。

このように、国の施作として副業・兼業を認めるとしていながらも、労働時間、労災、割増賃金の支払い方など、整備されなくてはならないものがまだ議論の途中であり、様々な補償面は未解決なままとなっています。
働き方改革の計画時には盛り込まれていたものの、まだ先になりそうな副業の労災問題、万一の備えの公的保険ではありますが、法律や対策が追いついていないこともご記憶ください。
そのための就業不能保険の販売は必要になってきます。ただ単に不安を煽るのではなく、副業が一般化する時代に即した提案ができるのが公的保険アドバイザーです。

(公的保険アドバイザー協会 理事 福島紀夫)