時短勤務中の給与を補填する育児時短就業給付金とは

雇用保険 2025/03/07

2025年4月から育児のために時短勤務をする人を対象に育児時短就業給付がスタートします。給付の内容や対象者等について解説します。


育児時短就業給付とは

育児時短就業給付は、2歳未満の子を養育するために時短勤務をして、給料が低下するなど要件を満たした場合に、支給される雇用保険の給付金です。支給額は、原則、時短勤務中の給料の10%です。ただし、給料が時短前より10%以上減っていない場合は支給率が調整されます。

また、時短勤務とは、単に労働時間を短縮する働き方だけでなく、週5勤務を週3勤務にするなどのケースも含み、1週間あたりの労働時間を短縮する働き方を言います。フレックスタイム制や裁量労働制でも、時間を短縮して働く場合は時短勤務とみなされます。

 
対象者の要件

対象者は、下記いずれかの要件に該当する人です。

1、育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて時短勤務を開始すること

2、時短勤務開始日前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること


1については、育児休業が終了後に時短で仕事復帰するようなケースを指します。この場合、育児休業終了の翌日と時短勤務開始前日までが14日以内である必要があります。たとえば、3月31日に育児休業が終了した場合、4月1日以降は慣らし保育などすぐに時短勤務で復帰できない場合もあるでしょう。この場合は、4月15日までに時短勤務を開始すれば要件を満たすことになります。

出典:厚生労働省「育児時短就業給付の内容と 支給申請手続」

一方で、育児休業終了後に復職して、数ヶ月後に時短勤務をする場合もあるでしょう。男性の場合は、このケースが多いかもしれません。この場合は、育児休業終了から14日以上経っていますが、2の要件を満たせば支給対象となります。

 
支給額

支給額は、原則、時短中の給料の10%です。この給料にはボーナスは含みませんが、残業代やその月分の通勤手当等は含みます。ここで具体例をみてみましょう。

 
・時短開始前の給料30万円

・時短後の給料:20万円

この場合、時短後の給料が時短開始前より10%以上減っているため、支給額は以下の通りとなります。

20万円×10%=2万円

支給については、ハローワークが支給可否の判断をして振り込みを行います。2ヶ月に一度申請をして、給料の10%×2ヶ月分が口座に振り込まれる形です。給料に上乗せして支給されるわけではありません。

なお、給料と給付金の合計上限額は459,000円です。たとえば、給料が時短前より10%以上減額して420,000円だったとしても、10%の給付金が支給されると420,000円+42,000円=462,000円で459,000円を超えるため、給付は39,000円となります。(420,000円+39,000円=459,000円)なお、支給限度額は毎年見直しが行われます。

 
支給期間

給付金の支給は子どもが2歳の誕生日の前日の月までです。また、申請は時短勤務開始月から4ヶ月以内に行わないといけません。4ヶ月を超えないように手続きを行なってください。手続きは基本的には会社を通じて行います。

 
すでに時短勤務をしている場合

2025年4月1日以前から2歳未満の子を育児するために時短勤務をしている場合は、2025年4月1日から時短勤務を開始したものとみなされます。その他、要件を満たせば給付金を受け取ることができます。会社の担当者に伝えて、手続きをしてもらいましょう。

 

公的保険アドバイザー
前田菜緒