年金生活者支援給付金とは?対象者や支援額、注意点を解説
年金生活者支援給付金とは、年金やその他所得が一定基準以下の年金受給者を対象にした生活支援のための年金上乗せ制度です。今回は年金生活者支援給付金の支給対象者や支給額、手続き方法等についてお伝えします。
年金生活者支援給付金の対象者は
年金生活者支援給付金の対象者は受け取っている年金の種類によって異なります。
<老齢基礎年金を受け取っている人の場合>
・65歳以上
・同一世帯全員が住民税非課税
・年金収入とその他所得合計が約80万円(老齢基礎年金満額相当)以下
ただし、合計が80万円を超えたとしても、約90万円までなら補足的な給付があります。
<障害・遺族基礎年金を受け取っている人の場合>
・前年所得が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円」以下
*前年所得には障害、遺族年金などの非課税収入は含まれません。
年金生活者支援給付金の支給額は
年金生活者支援給付金の支給額も受け取っている年金の種類によって金額が異なります。
<老齢基礎年金受給者の支給額>
国民年金保険料を納めた期間や免除された期間によって金額が異なります。具体的な計算式は下記の通りで(ア)と(イ)の合計額が支給額となります。
(ア)月5,310円×保険料納付済期間/480月
(イ)月11,333円(*)×保険料免除期間/480月
(*)保険料1/4免除期間は5,666円で計算
たとえば、国民年金保険料を20〜60歳まで40年(480月)きっちり納めた人は(ア)のみとなり1ヶ月あたり5,310円が支給されます。国民年金保険料を20年納めて、20年は全額免除されていた場合は、1ヶ月あたり8,322円が支給されます。
自分の保険料納付済期間は、年金証書や年金額に変更があった場合に送付される支給金額変更通知書等で確認できます。
<障害基礎年金受給者の支給額>
障害等級1級 6,638円 障害等級2級 5,310円
<遺族基礎年金受給者の支給額> 5,310円
年金生活者支援給付金の請求方法
年金生活者支援給付金は自ら手続きをしないと支給されませんから、忘れずに手続きを行いましょう。手続き方法は、年金の請求をする際に年金生活者支援給付金の請求手続きも併せて行います。その後、審査が行われ支給対象者には支給額が通知されます。
支給対象者だった人が要件を満たさなくなった場合は年金生活者支援給付金不該当通知書が送付され、その後、支給はされません。一方、要件を満たしていなかった人が満たすようになった場合は自分自身で手続きをする必要があります。その際は、市区町村の窓口に確認してみましょう。
年金生活者支援給付金の注意点
年金生活者支援給付金は、年金受給者を対象としています。そのため、年金を繰下げている場合、繰下げ期間中は支給されません。
また、支給開始は原則、請求した月の翌月分からのため、該当する場合は、早めに手続きをしましょう。ただし、新たに基礎年金の受給権を得た人は、受給権を得た日から3カ月以内に手続きをすると、受給権を得た日に年金生活者支援給付金の手続きを行ったものとみなして、遡って支給されます。3カ月を過ぎると手続きの翌月分から支給されますから、いずれにしても早めに手続きをしたほうが良いでしょう。
公的保険アドバイザー 前田菜緒