2019年度の年金額
年金額は毎年のように改正されますが、2019年度はご存知のように、マクロ経済スライドが発令され、4年ぶりの上昇となります。
しかしその上昇率は、実に「0.1%」、老齢基礎年金の額は2016年の金額と同様になるあたり、果たして高くなったのか、低くなったのか見当がつきにくいところもあります。
マクロ経済スライドそのものが、少子高齢化に応じて年金額の上昇を抑え、次世代のためにとっておくという定義づけになりますので、物価は上昇したものの、年金については今後も出費が多くなることは目に見えているということから、様々な要因を加えることで将来に貯蓄しておくようなものであるといえます。
今回のマクロ経済スライドについて、厚生労働省のプレスリリースで確認しておきましょう。
■年金額の改定ルール 年金額の改定は、物価変動率、名目手取り賃金変動率がともにプラスで、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに名目手取り賃金変動率を用いることが法律により定められています。 |
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2019 年度の年金額の改定参考指標
上記2項目を比較すると、①の方が高いため、年金の裁定には②の「名目手取り賃金変動率(0.6%)」が使用されます。
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上記②に、③④それぞれを乗じることにより、「0.1%」となります。
よって、2019年度の老齢基礎年金額は次の通りになります。
779,300円+779円=780,100円
・2018年度年金額:779,300円
・上昇率:0.1%
・金額:779円
こういった計算式の元、はじき出されているわけですが、①のように物価が上昇しているのであれば、年金額も必然的に上昇してもよいものと思いがちですが、給与自体はそれほど上がっていないという状況が現実なのかもしれません。
では、この名目賃金の変動率も、ここ最近の厚生労働省の統計問題で怪しいのではないかと勘ぐりたくもなりますが、そこは標準報酬額の平均を持って算出しているとおりで、その影響はないようですのでご安心ください。
年金額の上昇率が抑えられているということは、今後将来に向けての上昇も大きく期待できるものではないでしょう。100年時代を迎えている今日、ますます高齢化は進み年金額の総額で考えても増加傾向は間違いありません。そのために、社会保険の適用拡大や外国人雇用の影響もあって、被保険者数は増えていくものの、完全に正比例とはならないでしょう。被保険者数の伸び率よりも年金給付の伸びの方が早いため、バランスがうまく取れないのではないかと今後も懸念されます。
とはいえ、懸念ばかりしていても仕方がありませんので、安定したベースとなる公的保険の重要性をお伝えし、プラスαのご提案をしてまいりましょう。
(公的保険アドバイザー協会 理事 福島紀夫)