2024年の法改正項目について

労働・雇用 2024/02/01

本年もみなさまに役立つコラムを提供してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。新年最初の号は、今年予定されている公的保険関連の法改正をまとめてみます。限られた項目になりますがご確認ください。

障害者雇用促進法:障害者の法定雇用率の引き上げに伴い、障害者雇用状況の報告を確実に行う(2024年4月)
国民健康保険法:自営業者、フリーランスで働く方の産前産後期間の保険料減免(2024年1月)
労働基準法:自動車運転業務、建設事業、勤務する医師、鹿児島県等における砂糖製造事業における、時間外労働の上限規制適用(2024年4月)
労働基準法:労働条件の明示事項の追加、裁量労働制の協定事項の追加(2024年4月)
労働基準法:有期雇用労働者の雇用契約締結時に、更新上限を定める場合の理由の説明(2024年4月)
主な改正点を挙げてみましたが、その中でかかわりの多い項目について説明していきます。

まず、自営業者などが加入する国民健康保険の、出産時にかかる産前産後休業期間の保険料減免は大きな改正といえます。国民健康保険は、企業に勤務する方などの社会保険と異なり、産前産後期間の免除制度はありませんでした。しかし、近年の働き方の多様化を受け、フリーランスなどの働き方を選択する方が増えたことが後押しした結果といえます。

これによって、世帯に出産する予定の国民健康保険の被保険者、または出産した被保険者がいる場合、世帯主に対して賦課する国民健康保険料の所得割額および被保険者均等割額が減免されることになりました。

ただし、減免される期間が社会保険とは異なり、出産予定日または出産日の属する月の前月(多胎妊娠の場合は3ヶ月前)から、出産予定月の翌々月の計4ヶ月間(多胎妊娠の場合は計6ヶ月間)となります。
改正自体は2024年1月からですが、対象となる方は2023年11月以降に出産した方からとなります。

ちなみにですが、国民年金保険料については、2019年4月から産前産後期間の免除制度が適用されていることを申し添えます。

また、該当する方は限定されますが、自動車運転業務などの時間外労働の上限規制が適用になることも大きな改正となります。一般的な業種の場合は、時間外・休日労働に関する協定(いわゆる36協定)において、1ヶ月あたり45時間、1年あたり360時間と決められていますが、前述した業種については5年間の猶予期間が設けられていました。それが今回撤廃となり、制限されるものです。そうはいっても、一般的な業種とは異なり、時間外労働の上限時間は1年あたり960時間や医師については1860時間などの異なる規制もあり、様々な働き方となります。

示した時間数まで働かせることができるのではなく、働くことができるという考え方ですが、働きすぎには注意をしなければなりませんし、ご家族などの助言やサポートが重要になると考えます。

2024年が素敵な一年となるように、公的保険を十分理解して働き方にも注意してまいりましょう。
 

公的保険アドバイザー協会
理事 福島紀夫