国民年金の追納とは?仕組みを解説

年金 2024/02/13

過去、国民年金の保険料を免除されていたり、学生納付特例を受けていたりすると後から保険料を納付することができます。これを追納と言いますが、追納すると老後の年金額は増えます。どの程度増えるのでしょうか?追納の仕組みについてお伝えします。


追納できるのは過去10年以内の保険料

追納できる保険料は追納の申し込み月から10年以内の保険料です。例えば2024年4月に追納の申し込みをすると、2014年3月以前の保険料については追納することができません。30〜40代の人から学生納付特例を受けていたが追納した方が良いか聞かれることが多々ありますが、10年経過していることが多く、そもそも追納ができないケースがほとんどです。


追納すると年金はどの程度増えるのか

追納できなければ、保険料を満額納めた場合に比べて当然年金は減ります。学生納付特例を例に、どの程度減るのかお伝えすると、納付していなかった期間1年につき約2万円が目安です。つまり、仮に2年間、学生納付特例を受けていたなら減額する年金額は、2万円×2年=4万円ということです。

日本に住んでいる人は20歳になると国民年金に加入しますが、20歳から60歳まで、きっちり保険料を納めると、65歳から年間約80万円の年金が支給されます。したがって、2年間学生納付特例を受けて追納しなければ、80万円− 4万円=76万円、年金は76万円になるという計算です。

なお、ここでいう年金とは老齢基礎年金のことを言います。老後の年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の主に2種類ありますが、老齢厚生年金は会社員や公務員など現役時代に厚生年金に加入していた場合に受け取ることができます。追納が関係するのは老齢基礎年金のみです。

さて、ここで視点を変えて考えてみます。1年間保険料を納めていなければ年金額が2万円減るということですから、1年分を納付すると年間2万円の年金が増えるということです。年間の金額で考えると、大きなメリットはないと思ってしまいがちですが、年金は生涯受け取ることができます。さらに、納付すれば納付額全額がその年の社会保険料控除の対象となるため、所得税や住民税を節税することもできます。納付できるのであれば納付することをお勧めします。


3年以上前の保険料には加算額がつく

追納する際は、原則古い期間の分から納めていくことになります。この時、3年以上前の保険料には経過期間に応じた額が加算されます。例えば2014年度の保険料は当時15,250円でしたが、 2023年度に追納すると15,370円(全額免除の場合)を納める必要があります。加算額は120円ということです。1ヶ月分だけの保険料で考えると大きな金額ではありません。これは、日本の国債の利率が低いためです。加算額の基となる加算率は10年国債の利率の平均により設定されています。参考までに2023年度は加算率が0.2%でした。

低金利時代の日本の国債は利率が低く加算額も大きくなかったのですが、コロナ回復以降、利率は少しずつ上昇し、2024年度からは2021年度分の加算率が0.6%に上昇します。これまでは低金利時代だったため、加算額は気にならない金額だったかもしれませんが、今後、国債利率が上昇すると予想するなら加算額も上昇します。納付するできるだけ早めに納付した方が良いでしょう。

 

公的保険アドバイザー
前田菜緒