新成人の年金に対してのとらえ方はどうなる

年金 2019/02/01

今年も多くの若者が成人式を迎え、女性の華やかな振袖姿が多く報道されました。昨年のような晴れ着騒動もなく、大胆な暴れ方も少なくなり、大人らしい大人を目指しているのかと少し安心します。

今年の新成人は、全国で約125万人。ここ数年では大きな減少もなく推移しているようですが、少子高齢化に変わりはありませんので、将来一生懸命支えていただかなければならない逸材です。

ちなみに、私の成人式は1987年(昭和62年)。丙午(ひのえうま)生まれですので、今と変わりない人数が成人式を迎えた年でした。迷信とはいえ、その当時としては突出した人数の減少となり、日本人の信仰性が感じられた年だったといわれています。

さて、この新成人に対する年金に関しての調査がありました。

ある調査機関が調べたところ、「年金は信頼できない」とする意見が59%、「信頼できる」という意見が41%。
まだまだ信頼できないとする割合も多いのですが、2014年(平成26年)の調査時の27%と比較してみると、大きく信頼を寄せる意見が増えてきたことがわかります。母数が不明な点を除けば明るい兆しにも受け取れます。

また、実際に彼らに関係はありませんが、基礎年金番号制度が施行されたのが1997年(平成9年)ですので、1998年生まれの新成人にしてみれば、年金制度の改革とともに、どこかでいいイメージが植え付けられているかもしれません。(そんなことはないと思いますが)

一方で、厚生労働省の2014年国民年金被保険者実態調査によると、20代前半の方の納付率は23.7%、学生納付特例は48.5%、そして滞納率は15.6%で、20歳になって国民年金の手続きをした割合は、全体の半数程度という結果があります。

厚生労働省2014年国民年金被保険者実態調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/140-15a.html

年金の手続きに関しては、滞納率が15.6%というデータから考えると、みなさまのお客さまのお子さんが年金の手続きをしていないことも考えられます。親御さんが代わりに納めるでもよいとは思いますが、一度確認してみてはいかがでしょう。

かつて、フランスの経済学者トマ・ピケティはその著書「21世紀の資本」のなかで、こう述べています。

「特にフランスは、栄光の30年なるもの、つまり1940年代末から1970年代末の30年間について、かなりノスタルジーを抱いてきた。1970年代末からかくも低い成長率という呪いをかけたのがどんな悪霊やら、人々はいまだに理解しかねている。今日ですら、多くの人は過去30年の惨めな時代がいずれは悪夢の世に終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている」

その時代のフランスでもこのような考えがあったとすると、昭和から平成になり、バブルを経験した私たちの中には、フランスと同じように、平成の30年を暗黒の30年と感じる方も多いかもしれません。

しかし、平成しか知らない彼らは、過去は知らずに未来への30年を生きているといえます。

リーマンショックのときは小学校高学年、その後経済が立て直した社会を少しずつでも垣間見ていたとすれば、未来への希望は大きく持っていた年代とも考えられます。

新成人に対してのインタビューで、「世界を変える仕事をしたい」というコメントを聞くと、年金を信頼できるとした意見はまんざら間違いではないような気もします。

戦争はなかったが、多くの災害があった平成が平和な時代だったのか、これをデフォルトと感じる彼らには、大きな未来が待っているのかもしれません。

(公的保険アドバイザー協会 理事 福島紀夫)