子どもの国民年金保険料を親が払う場合のメリットと注意点
子どもの国民年金保険料を親が払う場合のメリットと注意点
20歳になると国民年金の納付が始まります。しかし、子どもが学生だと親が子どもに代わって保険料を払うケースもあるでしょう。国民年金は、まとめて前払い(前納)することができますが、前納したあとに子どもが就職して厚生年金に加入すると、国民年金と厚生年金の保険料の納付が重複します。納めすぎた分の保険料はどうなるのでしょうか。親が子どもの国民年金保険料を払う場合のメリットや注意点などをお伝えします。
親が子どもの国民年金保険料を払うメリット。
国民年金保険料の支払いが厳しい場合、学生であれば保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用できます。10年以内であれば追納できるため、追納すれば老後の年金額にも反映され、猶予が理由で年金が減ることはありません。
とはいえ、3年度目以降に保険料を追納するときは、加算額が上乗せされるため保険料はやや割高になりますし、追納しない人もいることでしょう。しかし、親が子どもの保険料を払うなら、これらの問題は発生しません。
さらに親にとっても節税というメリットがあります。子どもの国民年金保険料を納めることによって親は社会保険料控除を受けられるため、年末調整や確定申告で申告すると所得税や住民税を減らすことができるのです。子どもと親、両方にとってもメリットがあると言えるでしょう。
保険料納付後に子どもが就職した場合の注意点
国民年金保険料は、前納することができます。前納できる期間は、6か月、1年、2年で、いずれの場合も保険料の割引があるので、前納したほうがお得です。しかし、前納後に子どもが就職し、厚生年金に加入した場合は注意が必要です。
厚生年金に加入すると給料から年金保険料が差し引かれますが、国民年金保険料を納付済みであれば保険料が重複します。例えば、下記のように子どもが21歳の時に2年分の保険料を前納していたとしましょう。22歳の4月に就職したとすると、22歳の4月から7月の保険料が重複します。
この場合、重複分の保険料は還付されることになります。子どもが就職したあとに日本年金機構から国民年金保険料還付請求書が届くので、必要事項を記入して返送すれば、1か月程度で保険料が還付されます。ここでの注意点は、請求書が届くことを知っておくことと、届いたら忘れずに手続きをすることです。
還付できる期限は2年です。2年を過ぎると時効で還付されなくなります。請求書が届いていることに気づかず2年経過していた、返送を忘れて2年経過したということのないよう、忘れずに手続きをしましょう。
年末調整や確定申告時の注意点
年末調整や確定申告前に保険料が還付されれば、前納した金額から還付金額を差し引き、実際に納付した金額で申告すれば問題ありません。手続きはそれほど難しいものではないでしょう。
複雑なのは、年末調整や確定申告をした後に保険料の還付が発生した場合です。この場合、税の申告が過少になっているため申告した内容を訂正する必要があります。再年末調整や確定申告、修正申告が必要です。どの方法で修正が必要なのかは、修正する時期、会社員か個人事業主か等によっても違います。一度、会社の担当者や税務署に相談すると良いでしょう。
「手続きしない」だけは避けましょう。
20歳になると国民年金の案内が来ますが、払えないからと放置することだけをやめましょう。年金を納めるメリットがわからないと放置してしまいがちになるかもしれません。しかし、年金は老後のためだけではなく障害を負った時も障害年金が支給される仕組みがあります。
また、筆者のご相談者には過去に未納にしていたことを後悔しているお客様もたくさんいます。子ども自身が保険料の支払いが厳しければ、納付猶予特例を利用する、親が子に代わって納付するなど、方法はあります。後悔しないために、自分に合った方法で手続きをするようにしましょう。
公的保険アドバイザー
前田菜緒