2022年4月未就学児の国民健康保険料が減額に

健康保険 2022/02/07

2022年4月より子育て世帯の経済的負担を減額するため、未就学児の国民健康保険料が減額されます。減額される金額や減額内容についてお伝えします。

未就学児保険料減額の内容


国民健康保険料の減額の対象となるのは、未就学児の均等割保険料です。減額割合は5割で、未就学児がいる全世帯が対象です。所得制限はなく、申請の必要もありません。

とはいえ、いくら減額されるのか、均等割とは何か?が分からなければ、減額されると聞いてもピンとこないかもしれません。そこで、まずは国民健康保険の仕組みから整理しましょう。

国民健康保険の仕組み


国民健康保険料は、医療費給付のための医療費分、後期高齢者を支援するための支援金分、介護給付のための介護分の3つの保険料区分からなっています。このうち、介護分を納めるのは40歳〜65歳未満の加入者のみです。

 

そして、この3つの区分は、主に所得割と均等割の2つの方法で保険料が算出されます。このほか、資産割や平等割も導入している市区町村もあります。所得割は、所得に対して決められた料率をかけて保険料が計算され、均等割は、加入者全員一律にかかる保険料です。所得割も均等割も市区町村によって料率も金額も違います。

例えば、東京都西東京市の国民健康保険料は下記の料率、金額で年額の保険料が算出されます。今回の改正で減額されるのは未就学児の均等割ですから、赤枠が対象となります。

出典:西東京市「国民保険料の算出方法」
 

一般的に、大人料金より子ども料金の方が安いものが多いですが、国民健康保険料は、大人であれ子どもであれ、同額の保険料がかかっています。しかし、今回の改正で、子ども分の保険料が低額になることが実現します。

 

保険料の2割・5割・7割軽減との関係

 

今回の改正とは別に、所得が一定以下の場合、均等割が軽減される制度がすでにあります。軽減される割合は2割、5割、7割と、所得によって軽減割合が異なります。今回の未就学児の減額は、現状から5割減額されるため、例えば、現在、均等割が7割軽減世帯だと、負担している保険料3割のうちの5割の1.5割がさらに減額になり、現在の減額7割と合算され、合計8.5割減額となります。

実際の減額金額は


では、西東京市の場合の減額を見てみましょう。軽減なし世帯の場合、医療費分31,600円と支援金分6,500円の均等割を合計すると一人あたり38,100円です。これが、令和4年からは、その半分の19,000円となります。その他、軽減されている家庭の金額は下記の通りとなります。

出典:西東京市「令和4年度から未就学児の国民健康保険料が減額されます」


未就学児1人につき、上記金額が減額されますから複数いると人数分減額されることになります。とはいえ、国に先駆けて均等割を減額している自治体は複数あります。例えば、宮古市では18歳以下の均等割は全額免除です。国より手厚い減額をしている自治体にお住まいの場合は、今回の改正のインパクトは小さいですね。

 

2割・5割・7割軽減にしろ、今回の未就学児の減額にしろ、申請は不要です。申請不要は、ありがたいのですが、気づかないうちに減額されていることになり、減額されていることすら気づかないかもしれません。

 

そうすると、何かしら社会保険料の負担が増えた時、増えたことに負担感ばかり感じてしまうかもしれません。しかし、負担と受給はセットですから、負担ばかりではありません。今回のように静かに負担減となる改正が行われていることにも目を向けたいですね。

 

公的保険アドバイザー 前田菜緒