傷病手当金の期間の取り扱いについて

税・社会保障 2021/12/01

来年1月から傷病手当金の期間通算がスタートすることになり、詳細な取り扱い方法などが示されてきました。これまでの暦日の通算から、実際の支給された期間を通算することになり、様々なケースが考えられることになります。今までは、支給開始日からカウントすることでよかったものが、開始日によって通算される日数が異なってきますので、個別に確認することなどが求められます。厚生労働省は通算化によって生じる疑義などを公表しましたので、要約してお伝えしてまいります。

一つ目は、通常通り支給開始日から受給していたのですが、何らかの理由によって遡って支給申請することが生じた場合の対応です。
仮に、4月、5月を申請しており、間を開けて8月の期間を申請した後に、6月分を遡って申請する場合、通算して1年6ヶ月を超えていなければ支給決定されることになりますが、8月の支給決定が出た段階で残日数が15日間だった場合は、遡った6月分は15日分しか支給されないことになります。当初の支給開始日以降の期間で、通算される期間内であれば支給決定がなされることになりますので、残日数の確認は重要になります。

また、元の支給開始日より以前に傷病手当金の支給要件に該当することがあったケースはどのようになるのでしょうか。元の支給開始日が令和3年1月1日だったとします。間を空けずに申請を行っていたとすれば改正時点では1年を経過するところですので、約6ヶ月の残日数があります。
仮に、令和2年5月1日に同様の傷病で休んでいた期間があり、遡って申請する場合、元の支給開始日である令和3年1月1日が令和2年5月1日に変更され、支給期間や支給額も変更されることになりますので、令和3年1月1日以降に支給決定されていた傷病手当金は一旦取り消され、変更後の令和2年5月1日を基準に再計算されることになります。ただ、令和2年5月1日を基準とすると最後の支給決定された期間は通算期間を超えることになりますので、超えた日数については不支給決定がなされ、遡って申請した支給額との調整が入るものと考えられます。

次に、改正日前に支給を開始した傷病手当金で支給満了日が改正日後にくる場合の取り扱いについてです。
改正法では、施行日(令和4年1月1日)の前日において支給開始日があって1年6ヶ月を経過していない傷病手当金について適用し、施行日の前日までに支給が満了した傷病手当金については従来の暦日の通算の考え方になるとしています。したがって、令和2年7月2日以後に支給を始めた傷病手当金は、施行日の前日(令和3年12月31日)には1年6ヶ月を経過していないため、改正後の適用となり、日数は限られることになるかもしれませんが期間の通算化になります。
通常このような改正の場合、施行日以後に開始されるものが対象となることが多いのですが、今回は従前のものも含めるとしている点は一歩進んだような気がします。
細かく検証しますと、令和2年7月1日が支給開始日(待期期間の3日間を除く)の場合は、施行日の前日(令和3年12月31日)が期間満了日を迎えてしまうため改正法は適用されないことになります。
もっと細かくなりますが、令和2年7月2日から31日まで30日間の傷病手当金を受給したままの場合、令和3年12月31日時点では1年6ヶ月を経過していないため改正法が適用されることになり、改正日時点で519日の残日数があるとしています。何か、数字のマジックのようです。

詳細については厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」で確認することができます。

 

公的保険アドバイザー協会
理事 福島紀夫