2025年改正育児・介護休業法の概要
ここ数年で、育児・介護に関する法改正が続いています。少子高齢化の中で、少しでも状況を打破し、次世代の育成に努めたい政府の考えですが、合計特殊出生率の減少は止まっていない状況です。2023年の合計特殊出生率は1.20となり、前年の1.26より低下しているとされています(厚生労働省、2023年人口動態統計月報年計(概要)より)。調査を開始した1947年(今から76年前)の数値が4.54であったことを考えると、戦後のベビーブームの大きさを感じるところです。
それにもまして驚いたことは、東京都の数値が1.0を切ったという危機的状況にあります。少しでも次世代の育成を進めることは、将来私たちが受ける年金にも大きな影響を及ぼすことになりかねません。今月は、さらに改正される育児・介護休業法の概要をまとめて、今後の新たな対策に繋げていただければと考えております。
まず、今回公表された改正項目は以下の内容となります。
- 柔軟な働き方を実現するための措置等:(改正時期:未定)
- 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大:2025年4月1日
- 育児のためのテレワーク導入の義務化:2025年4月1日
- 子の看護休暇の見直し:2025年4月1日
- 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮を義務化:(改正時期:未定)
- 育児休業取得状況の公表が300人超の企業に拡大:2025年4月1日
- 介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の義務化:2025年4月1日
※改正時期未定は、法改正交付後1年6月以内の政令で定める日となりますので、遅くとも2025年11月末が予定かと想定しています
また、詳細については「省令」によるものとされていますので、公表まではしばらく時間がかかります
一つ目の「柔軟な働き方を実現するための措置等」は、3歳以上、小学校就学前までの子がいる場合に、始業時刻の変更や、テレワーク、新たな休暇の付与などを2つ以上事業主が選定し、そのいずれかを選択して利用する制度になります。
二つ目の「所定外労働の制限」は、これまで3歳未満の子がいる場合が対象でしたが、これも小学校就学前までに拡大することになっています。
これら二つを見てもわかるように、小学校に入る前までの子育て世代を応援するような改正になるようです。
さらに、四つ目の「子の看護休暇の見直し」は、小学校就学前までだったものが、小学校3年生が修了するまでに延長されるなど、大きな拡充になることがわかります。
これらの措置は、フルタイムで継続して働いていただきたいという主旨がありますので、制度をよく理解した上で活用し、ワークライフバランスの実現に向けていただきたいと考えます。
これ以外でも、介護離職に対する措置も取られ、働く世代の親の介護の併走を視野に入れる改正になりそうです。
育児休業の取得状況が公表化されたことで、多くの男性が育児休業を取得していることも明らかになってきています。柔軟な働き方と休み方の選択を広くできるように進めていきたいものですね。
公的保険アドバイザー協会
理事 福島紀夫