2024年12月健康保険証が廃止、マイナ保険証のメリットとは
医療機関に行った時、マイナ保険証の受付機を見る機会が増えました。現行の健康保険証は2024年12月2日に廃止されます。今後は、マイナンバーカードが保険証になるわけですが、マイナンバーカードを保険証として利用するメリットにはどのようなものがあるでしょうか?確認しましょう。
医療費控除の確定申告が楽になる
マイナ保険証を利用するとマイナポータルに医療費情報が記録されます。年間の医療費総額が一目でわかるため、医療費控除の対象となるかどうか領収書を計算する手間が省けます。また、記録された医療費は国税庁の「確定申告作成コーナー」と連携されていますから、確定申告時は金額が自動入力されます。
ただし、マイナポータルで記録されるのは健康保険適用の医療費のみです。医薬品の購入など医療費控除の対象と認められるけれど健康保険対象外のものは記録されません。なお、マイナポータル経由で自動入力された医療費については、確定申告において領収書の保存は不要です。
窓口負担が減る
窓口で支払う金額が少なくなるかどうかは気になるところです。マイナ保険証を利用すると、窓口負担は確かに少なくなります。しかし、数十円のためメリットと言えるほどではないかもしれません。
窓口負担が少なくなる理由は、医療情報取得加算という医療機関で患者の情報を取得する際に算定される加算に違いがあるためです。下記の通り、マイナ保険証を利用する場合としない場合では窓口負担に違いがあります。
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初診 |
再診 |
調剤 |
マイナ保険証利用あり |
1点 |
1点 |
1点 |
マイナ保険証利用なし |
3点 |
2点 |
3点 |
(1点=10円)
転職時の保険証の切り替えが不要
転職で加入する保険者が変わると保険証を切り替える必要があります。この場合、新しい保険証が手に入るまで数日かかるのが一般的です。しかし、マイナ保険証であれば引き続きそのまま使用可能です。ただし、健康保険への加入届け出は必要です。
高額療養費の申請が不要
高額療養費制度とは、1ヵ月にかかる医療費が自己負担額を超えると超えた分が払い戻される制度です。一旦窓口で医療費を立て替え、後日、加入する健康保険に高額療養費を申請する形ですが、マイナ保険証を利用すると保険証を提示する際、「限度額情報の提供」に同意すれば、窓口での負担は自己負担限度額までになります。
マイナンバーカードを保険証にするリスクは
マイナンバーカードにはICチップが組み込まれているため、紛失した時の情報漏洩リスクが怖いと思う人もいるかもしれません。しかし、ICチップには、そもそも税や年金、医療などに関する情報は記録されておらず、記録されているのは、マイナンバー記載の氏名、住所など、その他本人であることを電子的に証明する電子証明書と住民票コードです。また、ICチップから不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れて、読み出せなくなる仕組みとなっているようです。
マイナ保険証の利用実績は約5%
デジタル庁「マイナ保険証の利用等に関する現状」によると、2024年2月のマイナ保険証利用実績は約5%だったそうです。しかし、冒頭でもお伝えしたように、現行の保険証は2024年12月2日に廃止されます。廃止後も1年間の猶予期間があり、マイナンバーを持っていない人は加入している保険者から資格確認証が発行されますが有効期間は5年です。猶予があるとはいえ、現行の保険証が使えなくなりますから、早めにマイナ保険証に慣れておいた方がラクかもしれません。
公的年金アドバイザー
前田菜緒