夫(妻)が転勤族。仕事をやめると特定理由離職者に該当

雇用保険 2022/04/04

転勤族の夫を持つ妻は、「仕事をしても、転勤のたびにやめないといけなくなる」と、仕事をすることに対して、モチベーションが下がりがちになってしまいませんか。

しかし、仕事を辞めても雇用保険の基本手当(失業手当)の面では、一般の離職者より手厚い手当を受けられることがあります。ここでは、夫が転勤族で妻が仕事をやめたらという前提で、基本手当の内容や一般の離職者との違いをお伝えします。

 

転勤が理由なら特定理由離職者に該当

夫の転勤で仕事を辞めざるを得なくり、雇用保険の基本手当(失業手当)を受ける場合は「特定理由離職者」に該当し、一般の離職者とは区別されます。自己都合退職には当たりませんが、実際は、ハローワークの判断になります。そして、特定理由離職者に該当すると、一般の離職者より基本手当の給付が手厚くなります。

基本手当の支給は、離職理由によって特定受給資格者、特定理由離職者、それ以外の離職者と区分され、どれに該当するかによって給付内容が変わります。特定受給資格者とは、倒産や解雇などで離職した人、特定理由離職者とは病気や心身の障害で離職した人、親族の介護のために離職した人、結婚によって引っ越しをするため仕事を辞めた人、そして今回のケースのようにパートナーの転勤のために仕事を辞めた人などが該当します。

 

特定理由離職者に該当すると何が違う?

特定理由離職者に該当すると、以下の点で一般の離職者より給付条件が良くなります。

①被保険者期間が6ヶ月あれば良い
一般の自己都合退職の場合、過去2年間のうち、被保険者期間が1年以上必要ですが、特定理由離職者の場合は、過去1年間で被保険者期間が6ヶ月以上あれば基本手当の受給資格を満たします。2年程度で転勤になる場合、この条件はありがたいですね。

②給付制限がない

一般の自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、2〜3ヶ月の給付制限期間がありますが、特定理由離職者の場合、給付制限がなくなります。

③国民健康保険料が軽減される

基本手当を受給している間は、夫の社会保険上の扶養に入ることができません。ただし、基本手当日額が3,612円に満たなければ扶養に入れることができます。扶養に入れる基準が130万円未満のため、これを360日で割った金額である3,612円未満であれば、扶養に入ることができるという理屈です。雇用保険受給資格者証の基本手当の日額を確認の上、健保に確認しましょう。

一方、扶養に入れない場合は、自分で国民健康保険に加入することになります。しかし、特定理由離職者(雇用保険受給資格証の離職理由コードが23、33、34)の場合は、国民健康保険料が軽減されます。

国民健康保険料は前年所得に基づき計算されますが、その所得を30/100として計算してくれるのです。つまり、所得を70%も減額して保険料を計算してくれると言うことです。

これは、かなりの軽減になるのではないでしょうか。この軽減は離職した日の翌日の月からその月の属する年度の翌年度末まで適用されます。2022年3月31日に離職した場合は、2023年度末までが軽減期間となります。

なお、国民年金の保険料も失業によって保険料が免除される特例免除の制度があります。ただし、免除になった場合は将来の年金給付も減りますから、納付できる余裕があるなら納付しておきたいですね。

 

基本手当の給付日数と給付額

基本手当の給付日数は、雇用保険の被保険者期間によって以下の通り変わります。


 
出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

また、基本手当の給付額は、離職した日の直前の6か月の給料の約50~80%で、上限額が設定されています。上限額は、年齢ごとに以下の通りとなっています。


 
出典:ハローワーク「基本手当について」

 

基本手当を視野に入れて働き方を考えてみる

夫が転勤族の場合、引越し後すぐに仕事が見つかるわけではないでしょうし、新しい土地で生活をスタートさせる時は、何かと支出が増えるため、基本手当は需要な収入源になります。

2〜3年で転勤だからと思うと、働こうという気持ちになりづらいかもしれません。しかし、基本手当があれば収入が途絶えることはありません。仕事を辞めたとしても、次の仕事までに給料以外の収入があることも考慮して、働き方を考えてみるのは、いかがでしょうか。

 

公的保険アドバイザー
前田菜緒