【協会NEWS】 新型コロナ 学校が一斉休校に、労働者の賃金は誰が補償する?

お知らせ 2020/03/03

未だ収束が見えてこない新型コロナウィルス。感染拡大防止の観点を踏まえ、ついに国も学校の一斉休校に踏み切りました。

子どもたちが休むことにより、親の仕事にも影響がで始めたことを鑑み、小学校などに通う子どもを持つ保護者が休んだ場合の措置として、賃金補償を行うこととしたニュースは大きな話題になっています。

 

今回の特例措置では、雇用保険の基本手当日額(失業給付等に用いる金額)の最高額(8,335円)を基準に、上限いっぱい支給するというものです。本来の助成金でもこの金額が使われることが多いのですが、支給率としては大企業で日額の2分の1、中小企業では3分の2という率のところを、この緊急措置では全額補償されます。

東京都の最低賃金が1,013円ということを考えると、8時間労働相当として最低でも8,104円となりますので、該当従業員の1日分には足りないケースも出てくることでしょう。仮に、月額30万円の方を想定すると、平均賃金で1万円になりますので、不足することにはなりますが補填という点においては大きな金額になるといえます。

 

休業補償の原則は労働基準法に定められており、事業主都合で休ませる場合は平均賃金の60%の支給が求められます。本人都合の休みは、ノーワークノーペイの原則から支払われることはありません。

かつて新型インフルエンザが流行した時も、同じような騒ぎになりましたが、休業補償の面ではここまで手厚い対応ではありませんでした。

新型インフルエンザの時に国が示した休業補償の見解は「使用者の責に帰すべき事由による休業」ではないとされ、休業手当の支払いは不要とされました。ただし、医師の指導範囲を超えてまで休ませる場合は休業手当の支払いを行うことや、同居する家族が罹患した場合で、本人にインフルエンザの症状がなければ就業の継続は可能とされ、それでもなお感染を避けるために休ませる場合は休業補償を支払うことなどが示されていました。

今回の新型コロナウィルス対策でも、同様の対応かと思われていましたが、これだけ長引く状況を打破するために、全額支払いに踏み切った対応は、雇用する事業主に取っては負担軽減策として喜ばれることでしょう。

今回の感染拡大は、それだけ大きな社会的損失といえます。

 

今回は3月31日までの休業を対象としていますので、その頃には収束されていることを期待しながらうまく活用したいものです。